昇格後、新しい部署で悔しい失敗

 これまでの会社員生活12年間で、四度の育休、四度の部署異動を経験した生子さん。臨床試験の現場に従事中は、長男と次女、三女を出産後、昇格試験に一度失敗したものの、二度目の挑戦で見事合格を果たしました。

 その後、第二のターニングポイントともなった営業部への異動が今から3年前。生子さん43歳、三女は2歳のときでした。

 「異動先の営業部ではそれまで経験のなかったことばかりで、現場との意見の食い違いで厳しい指摘を受けたこともありました。例えば、営業部に移る前に在籍していた監査の仕事では、人に指摘をすることはあっても指摘を受けることはありません。そこから違いました」

 「営業に関してはマーケティングの知識、現場感覚不足を感じることが多く、落ち込むことも多かったんです。ただ、悩みながら『机上で考えることと現場は違う』という教訓を肌身で感じられたのは、とてもありがたい経験だったと思います」

 当時は、「管理職として力不足を感じるばかりだった」と悩むことが多かった生子さん。でも、一人で抱え込んでいてもいい方向には進まないと、とにかく手足を動かすことを重視したそうです。

 「何とか状況を変えるために、営業のスタッフ達とたくさん話をしました。自分の言葉の真意が伝わらなければ指示の真意も伝わらないと思ったのです」

 スタッフとのコミュニケーションは、メールより電話、電話より自分から相手に会いに行くことを重視。できる限り対面を優先しました。それを続けるうちに少しずつ認めてもらうようになり、信頼関係が生まれていったといいます。