ケータイの利用目的を親子で話し合う

―― こうした状況のもと、親は子どものケータイ、そしてネットの利用に、どう関わっていけばいいのでしょう。

下田 小学生のインターネット利用はまず、ペアレンタルコントロールがしやすいパソコンから始めるべきです。スマホなどモバイル端末からのネット利用は、子どもの発達段階をよく見極める必要があるでしょう。また、有害情報の受発信における被害・加害や、ネット依存予防などに対して、社会的整備が十分でない現状を鑑みると、スマホからのネット利用はできるだけ遅らせたほうが賢明です。

―― 小学生も高学年になると、子どもから「ケータイを買って」とせがまれる親も多いと思います。どう対応すればよいと思いますか?

下田 なぜ、ケータイ、スマホが欲しいのか、理由を聞いてみましょう。そして、ケータイを快楽的な遊びに使うと、様々なリスクが生じることを説明します。特にコミュニティーサイトの危険性を話し、親が心配していることを伝えることが大切です。

 そして改めて「何のためにケータイやスマホを使いたいのか」を聞き、利用目的をはっきりさせましょう。子どもの目的外使用が問題につながっているからです。既に、ケータイやスマホを持たせているのならば、フィルタリングはもちろんのこと、インターネットの利用制限や利用の見守りをすることが大切です。LINEの利用でも保護者が見守ることはできます。

下田博次(しもだひろつぐ)
早稲田大学卒業後、(財)日本情報処理開発センター勤務。雑誌記者、放送番組制作者を経て、2008年、群馬大学社会情報学部大学院研究科教授。警察庁の「少年インターネット利用に関する研究会」座長、埼玉県ネットいじめ対策委員会委員長などを務める。2001年、子どものケータイ、インターネット問題について啓発活動を行う「ねちずん村」を立ち上げる。現在は、群馬大学名誉教授。著書に『子どものケータイ―危険な解放区』(集英社)、『ケータイ・リテラシー』(NTT出版)、『液晶画面に吸い込まれる子どもたち』(女子パウロ会)などがある。

(ライター/北野知美)