緊急時の対処法に重点を置く

 家族が突然「頭が痛い」という症状を訴えてきたとします。それが頭を打ち付けたことによる痛みなのか、それとも病気による痛みなのかは、周りの人間には分からないこともあるでしょう。本人に尋ねることができればいいのですが、痛みの程度によっては意思の疎通ができないことだってあり得ます。

 「救命・応急手当の基礎知識」は、緊急時の対処法を解説することに重点を置いた医療情報アプリです。症状やけがの内容を選択するだけで、適切な処置を調べることができます。

 アプリのメインメニューは大きく4つに分かれていて、「症状別応急手当」では頭痛や腹痛などの内科的な症状に、「けが・事故の応急手当」では外科的な症状に対応。「心肺蘇生法」や「止血法」には、それぞれ個別の項目が用意されています。

メインメニューは大きなボタンで目的のメニューを選択しやすい
メインメニューは大きなボタンで目的のメニューを選択しやすい

 前述した頭痛を例に見てみましょう。メニューから「症状別応急手当」を選び、「頭がとても痛い」をタップします。すると、どのような姿勢を取らせるべきか、何をすべきでないか、どんな症状に注目すべきかといった内容が優先度順に記されています。これを上から1つずつたどっていくことで、症状に対応するためのチェックリストとして機能するのです。

 個人的に意外だったのは、「飲み物や食べ物を与えない」という指摘。注目すべき症状の中に「吐き気・嘔吐」とあるので、吐瀉物による窒息を防ぐためだと分かります。痛みに耐えている家族を目の当たりにすると、つい安心させたくて何か飲み物を与えたくなってしまいそうですが、場合によってはかえって状況を悪化させかねない行為であることに気付かされます。

「症状別応急手当」から「頭痛時の対処法」を選択したところ
「症状別応急手当」から「頭痛時の対処法」を選択したところ