敷津小に来た当初、運動場が見えない職員室に驚いた。安全性を問うと「今まで何とかやれていたので」と諦めの空気があった。いざ工事が済んで職員室から運動場の様子が見えると、教職員の安全意識がより高まった。特に、運動場からも死角になりがちなジャングルジムが見えるようになり、危険な遊び方を注意しやすくなった。
他にも、図書館を整えてホワイトボードを入れ、自習室としても使えるようにした。ファイル棚を大量に買い、自主プリント学習のサポートも始める予定だ。正直なところ、まだ手探りだ。休憩時間もろくに取れない担任に負担をかけず、放課後学習をサポートするにはどうするか。人を雇うお金はない。
公立中学校で始まるバウチャー制度が、小学校に来るまで待っていては、目の前の子どもたちに間に合わない。
一校だけ、成功しても何の意味もない。また、どんな成功事例も自校に合わせたカスタマイズが必要だ。秋田県の「自学ノート」を取り入れているクラスもある。それぞれの担任が、クラスの実態に合わせたペースや内容で子どもたちを導いてくれている。
「愚痴を提案に変える」。
「無理かも」を「できた!」にしよう。
公募校長を巡る報道の全てが真実かどうか、私自身もわからない。ただ、民間人も公務員も関係なく、地道に取り組む教職員や管理職は大阪中にいる。そのことを知ってもらえるとありがたい。
[本記事は日経DUAL編集部が2013年9月20日付日本経済新聞電子版に寄稿した記事を再構成しました]