新しい視点を持ち込むこと、それもある。他にも役割としてできることは、積極的にやっている。また、発信力を高めることで、公立小学校の内情を知ってもらうのも役目だと考えている。

 こまめに発信を続けるのは「現場の代弁」をしたいからだ。最近は、「これっておかしいやろ、ブログに書いといて!」と校長先生方に冗談まじりに頼まれる。

 書いて欲しいと頼まれたことの1つに「地域と学校の関係」がある。

 学校を取り巻く地域の熱意や、伝統に振り回される学校は多い。しかし。それでは、本来の学校運営に支障を来す。

 8月に、神戸で関西圏の校長が集まって情報交換をする会があった。グループワークで一緒になった校長先生からは口々に「地域からの要求や行事が多い」との嘆きが漏れた。私も、地域主催の行事や飲み会の多さに驚いた。

サドルが低い「0号」を愛用。小学校の先生はとにかく自転車に乗って、しょっちゅう家庭訪問や校区巡視に行く。私もすっかり自転車移動に慣れたが、昨夏の猛暑はさすがにキツかった
サドルが低い「0号」を愛用。小学校の先生はとにかく自転車に乗って、しょっちゅう家庭訪問や校区巡視に行く。私もすっかり自転車移動に慣れたが、昨夏の猛暑はさすがにキツかった

 「子どもが少ない」「なんで先生が顔を出さへんねん」「あの校長の時はもっと来てくれはった」

 昔の学校のイメージのままに、教職員の動員を要求されると今の学校現場は辛い。業務量は増え、個別の児童対応が難しくなっている中でどこまでやれるか、管理職としての判断が問われる。子どもたちも多忙だ。PTA活動のからみで、特定の児童に負担がかかることもある。幸い、敷津地域の方は話を聞いてくださる方ばかりだ。ただし、ネットでの発信は、地域には届かない。会って説明をしなければ伝わらない。

 浪速区役所で行われる校長会には、どの校長先生も自転車でやってくる。

 私も黄色い「しきつ0号」に乗って、地域を走る。あちこちから「校長先生!」と声をかけてもらうようになった。ふと、『二十四の瞳』の「おなご先生」になったような錯覚に陥る。「学校マネジメント」「学校改革」というキーワードとは逆方向の、古典的な校長の仕事だ。量や内容の見直しはそろそろ必要だ。しかし、地域の温かさに触れるにつけ、単純になくしてはいけないものだと感じている。

助けあい、学びあって教育を変える

 地域と学校の問題は、民間人視点だけでは判断しにくい。いや、全てのテーマにおいて「民間人だけで議論する」ことは危険だ。公立学校が外に出せずに悩んできた課題は、たくさんある。誰かが変えてくれるのを待たず、現場で必死に対応してきた歴史と経験がある。

 私自身も「愚痴を提案に変える」を指針に、いつも考えている。現状はすぐには変わらない。訴えながらも、目先の問題を先送りにはできない。以前書いた「子どもの安全のためにモニターカメラを運動場に設置する」ことが、先日ようやくできた。