新制度により、学童保育はレベルアップする

―― 学童保育の体制が変わると耳にしたのですが……。

普光院 その通りです。保育園と違って、学童保育については、これまで国の基準が存在していませんでした。そこで、2015年度の子ども・子育て新制度の開始に伴って、国が基準を決めることになりました。検討委員会の報告によると、以下のような点が改善される予定です。

 1.対象は小学校6年生まで(これまではおおむね10歳未満が対象とされてきた)
 2.職員は2人以上配置し、そのうち1人は有資格者(保育士や教諭など、決められた資格を持つ者)でなくてはならず、必要な研修を受講しなければならない
 3.大規模な環境では子どもの安全・安心が確保できないため、定員を40人までとし、それを超える場合は施設を分割するか、複数の集団に分けなくてはならない
 4.学童保育専用の部屋やスペースを設けることとし、広さは子ども一人当たり1.65 ㎡以上にすること。静養スペースも設けなければならない

 ただし、都市部では学童保育の待機児童も発生しているため、一定の時間をかけながら改善していくことも考えられているようです。

都市部を中心に学童保育・待機児童がいる。その数、8689人

―― 学童保育にも待機児童がいるんですね?

普光院 学童保育の待機児童は全国で8689人(平成25年度)です。保育園の2万2741人よりは、だいぶ少ないですね。

 ただ、都心部などでは、「全児童対策」という定員を設けない放課後事業や商業的な放課後サービスなどの受け皿があったり、子どもが家で留守番する家庭もあったりすることが考えられ、本当の潜在待機児童数はもっと多いのではないかとも言われています。

 学童保育が不足している地域では、家から遠い学童保育施設でなければ入れなかったり、小学1年生が優先されるために3年生が押し出されてしまったりします。1年生でも待機児童になってしまうことがあります。

―― 学童保育施設に入れなかった場合はどうすればいいのでしょう?

普光院 次のような手立てを考える必要が生じます。

 1.祖父母や親戚が近居していれば、放課後の保育を頼む
 2.隣近所で小学生を預かってくれる家庭を探す
 3.習い事、塾、児童館などをつないで子どもの居場所を確保する
 4.一人で留守番をさせる(近所にいざというときに頼れる家を確保する)
 5.都市部には商業的放課後サービスがあるので利用する
 6.ファミリーサポートやベビーシッターを利用する、など

 2~4は、夏休みなどの長期休暇中が悩ましいですね。⑤⑥は相当にお金がかかることを覚悟しなくてはなりません(後述)。

 子どもは、時が経つごとに自立していき、長時間の留守番も平気になり、毎日違う場所に通うことにも不安はなくなっていきますが、低学年では「まだ心配だ」と感じる親は多いでしょう。子どもの性格、親の人間関係、地域の子ども向け施設の状況によっても解決策は違ってきますので、いろいろな可能性を探る必要があります。とにかく、自治体には、なんとかして安心できる学童保育を増やしてもらわなくてはなりません。