在職中に出産した女性のうち83.6%が育児休業を取得。これは厚生労働省の「平成24年年度雇用均等基本調査」の結果です。

 育児休業を取得した女性の中には、復帰したら元の部署に戻れず、異動を命じられたという人もいるでしょう。子育てをしながら、新しい仕事や新しい人間関係に慣れるのは大変です。できれば元の部署で働きたいと思うもの。では、異動を拒否することができるのでしょうか。

 育児・介護休業法では、子どもの看護休暇の申し出をしたり取得したりしたことで、解雇や不利益な取り扱いをしてはならないとあり、例えば不利益な配置の変更を行うことは禁止されています

復帰後は、原則として原職復帰に配慮することが求められている

 また、厚労省の指針では「育児休業及び介護休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること」とあり、原則として、会社は元の部署に復帰させて給与・手当・役職は休業前と同様にすることが求められます

 また、男女雇用機会均等法でも「婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱い」が禁止されており、それには「不利益な配置の変更を行うこと」が含まれます

>上司も知っておくべき! 厚労省の指針 「不利益取り扱いの禁止」

 指針では、解雇その他不利益な取り扱いの典型例として次の取り扱いを挙げています。

・解雇すること
・期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
・あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
・退職または、正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更を強要すること。
・自宅待機を命令すること。
・労働者が希望する期間を超えて、その意に反して所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限または所定労働時間の短縮等の措置を適用すること。
・降格させること。
・減給し、または賞与等において不利益な算定を行うこと。
・昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
・不利益な配置の変更を行うこと。
・就業環境を害すること。

参考:〔新〕子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針