イクボスとは「社会を育てるボス」のこと。もっと、丁寧に説明するならば、「職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)」を指します。

 もちろん、僕たちが作った新語であり、この定義もできたてほやほやです。

仕事だけに没頭してきたオヤジ管理職が若い世代の壁になっている

 なぜ、こんなプロジェクトを始めたかというと、「仕事も家族も大事にしたい」と奮闘するイクメンたちを応援する中で、どうしても壊さなければいけない”壁”があると気づいたからです。

 その壁こそが、まさに「管理職の旧態依然とした意識」。

 「男は遅くまで働いて当然」「休日出勤も文句を言うべからず」「単身赴任は断る余地のない命令だ」。そんな価値観をもって組織を統率するリーダーのもとでは、いくら一人ひとりのパパが「家事や育児も頑張りたい」と思っても空回りするばかり。

 それどころか、「意欲のないヤツ」というレッテルを張られ、職場で居場所を失いかけているイクメンたちを何人も見てきたのです。

 育児は妻に任せっきりで仕事に没頭してきた50代のオヤジ管理職たちの意識こそが、「夫婦で一緒に子育てしたい」という若い世代の大きな壁になっていると気づきました。

 それじゃいかんぜ! と立ち上がったのが、同じくオヤジ代表の僕たちです(イクボスプロジェクトを一緒に主導するパートナーも50代。いずれゆっくりご紹介します)。

イクボスが増えなければ、優秀な人材を手放すことになる

 イクボスとは、多様な働き方を応援し、リーダーとして組織の生産性を高めようと力を尽くせる上司のこと。核家族化によって夫婦二人で協力しなければ子育てが成り立たない今の育児事情や、これから団塊世代が老後を迎えて「大量介護社会」に突入しようとしている構造の中で、「社員の長時間労働に頼る」という稼ぎ方はがもはや通用しなくなることは明らか。