羽生 5年生の息子さんが、中学受験を控えていらっしゃるんですよね。私は、自分が地方の田舎出身だから余計に、「中学受験って何?」と思ってしまいます(笑)。

久宝 私もそうなの! 私も夫も当然中学受験はしてないですし、関西は高校でも、どちらかというと私立はすべり止めという感覚。中学から私立に行く人は本当にお金持ちのお子さんで、クラスで1人いるかいないかでした。今の東京の公立小学校は、その感覚が完全に逆転しちゃっている。住む場所によって常識が違いますね。東京の受験戦争に、完全に飲み込まれちゃった。

羽生 ご主人と久宝さん、どちらがリーダーシップを取られたのですか?

久宝 ウチは2人ともあれよあれよという間に、中学受験のムードに巻き込まれていました。子どもたちが通う都内の公立小学校は、7~8割の子どもが4年生から塾に通っています。そもそも公立小学校に入れた理由は、学校から帰って近所のお友だちと遊びに行けるようにさせてあげたい思いがあったんですね。4年生から塾通いが一般的というのは…、イメージと大きく違いました。塾に行かせる場合は新4年生(3年の2月)からが主流みたいで、うちは4年の春季から通い始めました。

勉強しておくことは荷物にならないから

羽生 周りの雰囲気に抗えず、という感じ?

久宝 そうね。先輩とか周囲の友だちもそうだから、息子本人も塾に行くことを当然と思っていて、やる気になっていて。自然と受験をする道を歩いてしまっています。私自身、「そんなに早くから受験させなくてもいいのではないか」と中学受験には懐疑的ですごく考えました。そんな中で、受験をしてもいいかなと救いになったのは、「勉強することは荷物にならない」という言葉でした。勉強をすること、勉強する癖をつけることは邪魔にはならないから、失敗しても公立があるって感覚で準備しておく分にはいいかなと。ただ、子どもの体力面を心配はしているんですけどね。

羽生 やはり塾通いは体力的には大変なのですか?

久宝 だって、塾が終わって自宅に戻るのは、21時、22時ですよ。10歳ぐらいの子が。

羽生 エーッ!? 子どもは午後9時に寝るものでは…。

久宝 近所に行きたい塾があればいいけれど、電車やバスを使う距離だったらそれぐらいの時間になってしまいます。学校から帰ってきておにぎりをサッと食べて塾に行く。それが週3回です。

羽生 中学受験に100%賛同していなくても、どの親も子どもにより良く育ってほしいと思いますからね。久宝さんがおっしゃる、「勉強は荷物にならない」というのは、私の頭にも深く残りそうです!

久宝 結局、勉強はどこかのタイミングで死ぬほどがんばらないといけないわけですよね、高校受験や大学受験で。「それがちょっと前倒しになった」と思えばいいかと自分を納得させています。中学受験なら子どもなりの考えもありますから、共学か男子校か、クラブ活動はどうしたいかなど、本人の意思はいくらか反映させてあげられるとも思うんです。こう言いながら、塾の費用って私立の中学校に通わすぐらいの膨大な費用がかかるので、「ここまで費やしたんだから、ちょっとがんばってもらわないと!」って気にもなっています(笑)。

羽生 ママである久宝さんもその気になってきた?

久宝 息子が通っている塾は、家庭学習が基本。宿題もどさっと出ますし、塾に行くだけでは成績は上がらない。親が管理しないといけないんです。ちょうど受験まであと1年ですから性根を入れていこうと思っています。