私の主義が「過保護」だというなら、夫の主義は「自由放任」。もっとストレートに言うと、「野放し」だ。

 私が仕事で外出する間、夫に子どもを頼んでおく。帰ってきて子どもを見ると、おでこに赤い腫れがあったり、頬にマットの凹凸の痕があったりする。なぜかキッチンにあったはずのごまだとか七味だとかが、リビングの床やらベランダ(!)に転がっている。

 私が留守の間、どんなだったかは、大体想像がつく。夫がどのように「虎蔵」(夫が勝手にこう呼んでいる)に接していたか。一言、「野放し」だ。

柵は登らせっぱなし、眠たくてぐずっても放置……でも、たくましくなっている息子

 子どもエリアと犬エリアを分ける柵に登っても、登らせっぱなし。ちょっとくらい落ちても、放っておく。キッチンに入っても、まっいいか。眠たくてぐずってもそのままにしておいたら、勝手に力尽きて床で寝た。ってな具合だろう。

 面倒だから「野放し」にしているのか、あえて「野放し」にしているのかは分からない。ただ、結果的に、夫の「野放し育児」のお陰で、息子がたくましくなっていることは確かなのだ。柵の上り下りができるようになって、腕力や腹筋、背筋が随分鍛えられているし、ビンや缶やこまごましたものへの興味も満たされているようだ。「野放しバスタイム」のお陰で、お湯をザブンと頭からかぶったり、足を滑らせて一瞬お湯の中に身体も頭も沈んだりしても、すぐ立ち直る(らしい。私は目撃したことがないが)。

 きっと私だけだったらあり得ないような、一人っ子にしては珍しいワイルドぶりが身に付きつつある。