コロナ下の新しい暮らしの中、家族の健康のために室内の空気をきれいにしておきたいと考える人が増えています。多忙な働く親にはどのようなことができるのか、積水ハウス執行役員で住生活研究所長の河崎由美子さんと、同研究所の植山生仁さんに聞きました。

子育てにおいても空気がきれいなことは大切

 「空気の質への関心が高まっています」。そう話すのは、積水ハウス執行役員で住生活研究所長を務める河崎由美子さんです。「リモートワークなどで家で過ごす時間が増えたり、ウイルスへの不安があるためでしょう。アンケートで『家の中の空気が健康には大切だと思う』に『そう思う』『まあそう思う』と答えた人は93.4%に上っています(健康と空気に関する暮らし調査・2020年11月・N=1023人/積水ハウス住生活研究所調べ)」

 文部科学省が公表したデータによると、小学生のコロナ感染は78%が家庭内感染です。換気や手洗いをはじめとした家での配慮が大切なことが分かります。

 住生活研究所で空気環境について研究をしている植山生仁さんは「今はウイルスが気になるかもしれませんが、室内の空気は他の原因でも汚染されています」と話します。「外からの原因で代表的なものは花粉です。地域によっては黄砂やPM2.5が入ることもあります。家の中で発生する原因はほこりやカビ、ダニの死骸やフン、化学物質などです。いずれも健康に悪い影響を与える可能性があります。特に子どもは大人よりも空気中の化学物質の影響を受けやすいと言われています。子育て中の家庭では空気のきれいさに、より配慮することが必要でしょう」

 人が部屋にいるだけでも空気は汚染されるそうです。「狭い部屋に人がたくさん集まったとき、頭がボーッとしたり痛くなったことはないでしょうか。これは室内の二酸化炭素濃度が高くなり、空気が汚れてしまったためです。反対に、閉め切った部屋で勉強や仕事をした後で窓を開けて空気を入れ換えたら、頭がすっきりしたという経験もあると思います。勉強や仕事の効率を上げるためにも、空気の質を意識することは大切です」(植山さん)

積水ハウス執行役員で住生活研究所長の河崎由美子さん(右)と、同研究所で空気環境について研究をしている植山生仁さん
積水ハウス執行役員で住生活研究所長の河崎由美子さん(右)と、同研究所で空気環境について研究をしている植山生仁さん