空気の質は気になるけれど、窓は開けたくないと言う人が多数

 植山さんは「窓開け換気」について、「風があるときには短時間で空気が入れ替わるとても便利な換気法です。しかし、無風の場合、窓の近くの空気は入れ替わっても部屋の奥のほう空気は替わらないことがある」と話します。「手軽ですが、空気の流れをコントロールしづらいのが『窓開け換気』の弱点です」

 また、積水ハウスの調査(前出)によると、「窓は開けずに済むのが理想的だ」と考えている人が64.3%います。窓を開ける時に、「防犯面」、「花粉や黄砂、PM2.5」、「家の中の音が外に聞こえること」が気になると答えた人も多数いました。

きれいな空気のために、家自体にできることもある

 家の中の空気をきれいにしたいと考える一方で、窓を開けて換気することに抵抗がある。このような場合、どうしたらよいのでしょうか。河崎さんは「掃除や空気清浄機の利用など、暮らしの中で工夫をする他に、家自体の機能も活用してほしい」と話します。

 実は2003年7月以降の住宅には、24時間換気が可能な機械換気設備の設置が義務付けられています。しかし、スイッチをオフにしていたり、エアコンの効率を優先したりして、使っていないケースもあるのです。建築時期が当てはまる場合は、1度スイッチを確認し、常に稼働させておきたいものです。

 積水ハウスでも、換気を意識した住まいの工夫を開発しています。それが戸建て住宅で提案している次世代室内環境システム「スマートイクス」です。スマートイクスは次の4つのポイントで、家中の空気をコントロールしています。

・換気ゾーニング

 家族が過ごす時間が長いLDKを風上としてきれいな空気を取り込み、玄関ホールや廊下などに汚れた空気が流れていくようにゾーニングする。窓を開けたり、サーキュレーターを使わなくても自動的に効率の良い換気ができる。

・アメニティ換気システムⅣ

 熱交換換気機能を取り入れたシステム。例えばこれからの冬は、外からの冷たい空気は室温に近づけて室内へ供給し、室内の暖かい空気は熱を取り出して排出する。換気によって部屋が寒くなるのを防ぎ、エアコンの効率がよくなる。花粉や黄砂などの汚染物質や虫の侵入も、サイクロン給気フードとフィルターでほとんどシャットアウトされる。

(左)外の空気を取り込み、大きな粉じんや虫などを除去するサイクロン給気フード。熱交換換気ユニットにつながっている。(右)外からのきれいな空気を入れる給気口
(左)外の空気を取り込み、大きな粉じんや虫などを除去するサイクロン給気フード。熱交換換気ユニットにつながっている。(右)外からのきれいな空気を入れる給気口
(左)外の空気を取り込み、大きな粉じんや虫などを除去するサイクロン給気フード。熱交換換気ユニットにつながっている。(右)外からのきれいな空気を入れる給気口

・天井付空気清浄機「エアミー」

 天井付きなので、PM2.5やニオイ、ウイルスなど空気中を舞っている細かい汚染物質を効率的に除去できる。床置きのようにじゃまにならず、子どものいたずらや事故も予防できる。

一般的な換気システムのみの場合と比べ最大約2~5倍すばやく汚染物質を除去できる天井付空気清浄機「エアミー」
一般的な換気システムのみの場合と比べ最大約2~5倍すばやく汚染物質を除去できる天井付空気清浄機「エアミー」

・プランニング

 家づくりのプランニングに空気清浄や感染予防、自宅療養の視点を取り入れる。例えば、玄関近くに手洗い水栓や着替えのためのチェンジングルームを設置することで、汚染物質をリビングや居室に持ち込まないようにできる。清潔への意識の高まりに対しては、手すりや床に抗ウイルス建材を使用したり、自動水栓にしたりすることを提案。家族が病気になったときのために、寝室のすぐそばにトイレや階段を設置するなどしたプランも可能。

玄関から直行できるチェンジングルーム。着替えたり、上着やカバンを置いたりできるので、汚染物質が室内に入らないようにできる。天井に見えるのは汚れた空気を吸い込む排気口
玄関から直行できるチェンジングルーム。着替えたり、上着やカバンを置いたりできるので、汚染物質が室内に入らないようにできる。天井に見えるのは汚れた空気を吸い込む排気口