換気扇と冷蔵庫はギリギリまで見えない位置に

 ダイニングからキッチンカウンターに近づいた河崎さん。「ダイニングに座っていると換気扇と冷蔵庫が見えなかったのですが、ここまで来るとやっと見えてきましたね。この間取りはおすすめです」と話します。確かに、ダイニングから最も離れたところにコンロと冷蔵庫置き場があるので、ダイニングに座っていると、両方とも見えませんでした。「この二つは、ボリュームがあり、生活感の代名詞ともいえる存在です。特に、レンジフードは忙しくて掃除が行き届かないと、油汚れやほこりがたまってしまいます。せっかくくつろいでいるときに目に入ると憂鬱になってしまいますよね。LDからは、なるべく見えにくい場所になるように設計すると、気持ちよく過ごせますよ」

冷蔵庫を壁に近い色にしているのもキッチンになじませる工夫のひとつ
冷蔵庫を壁に近い色にしているのもキッチンになじませる工夫のひとつ

「収納」よりも「カウンター」。作業スペースが気持ちの余裕を生む

 次に着目したのがキッチンの背面です。通常は収納にして食器や食品を入れるイメージですが、河崎さんによると「共働き世帯こそ、背面はカウンターにするべき」なのだそう。 「共働き世帯では夫婦で一緒にキッチンに立つことが多くなります。 “夫婦一緒に”と言っても、調理のスキルやスタイルには違いがあります。上手なほう(妻とは限りませんが)に比べ、そうではないほうは、道具をたくさん使いますし、場所が多く必要で、時間もかかります。お互いに円満に作業を進めるには、作業スペースが2カ所以上あり、しかも広いほうがよいのです。そのために、ぜひ作業スペースとなるカウンターの確保を優先してください」

 とはいえ、カップボードなどの食器収納がないと不安という声も聞こえてきそうですが、「私たちの調査では、幅90㎝の引き出しが2杯あれば、標準的なアラサー家族が普段よく使う食器のほとんどが収められることが分かっています。食器に関しては、意外と収納量は必要ないんですよ」

キッチン家電を出しっぱなしにできるスペースを確保しよう

 カウンターの上を見ると、そこには電子レンジ、炊飯器、湯沸かしポットといったキッチン家電が並んでいます。「キッチン家電は共働きの家事をラクにしてくれる強い味方です。『色々持っているけれど、置き場所やコンセントが足りないのでいちいち出したりしまったりしている』という人が多いのですが、それではだんだんと面倒になってしまいます。ぜひ、出しっぱなしにして、家族みんなでフル活用してほしいですね」と河崎さん。「先ほども言いましたが、キッチン家電がたくさん置けるカウンターがあるといいですね。さらに、フリーで使えるコンセントを8口は用意したいもの。それだけあれば、普段よく使う電子レンジや炊飯器、湯沸かしポットなどはもちろん、フードカッターやジューサーなどもコンセントにさしたままいつでも使える状態にできます。フードカッターがすぐに使えれば、玉ねぎのみじん切りはあっという間。ジューサーがあれば毎朝手軽にフレッシュジュースが飲めます。これだけでも、調理のハードルが低くなり、だれでもお料理しやすい住まいになると思いませんか?」

たこ足配線にならないようにコンセントの口数は余裕をもって設置したい
たこ足配線にならないようにコンセントの口数は余裕をもって設置したい