衣類家事の機能を2階に集約。時短&家族でシェアが格段にしやすくなる!

 次は2階のランドリーステーションへ。ランドリーステーションとは、洗濯や畳む、しまうといった衣類に関する家事をする場所を1カ所に集めた空間のことです。河崎さんは「この家のもう一つの大きな特徴が、『洗う』をはじめとする衣類に関わる機能を2階に集めたことです」と見どころを説明します。「衣類家事は最も時間がかかる家事です。機能を1カ所にまとめることで、時短効果が期待でき、子どもも含めた家族でのシェアがしやすくなります

 「小林さんち。」のランドリーステーションは次のような配置になっています。洗濯機置き場と並んで下洗い用のシンク。天井からは室内干し用のバーがつり下がっています。洗濯機置き場はバルコニーに面しているので、外干しもすぐにできます。横には立ったままアイロンを掛けるのにちょうどよい高さの作業台。小上がりになった畳スペースは取り込んだ洗濯物を畳むのによさそうです。家族みんなの衣類をしまうためのファミリークローゼットも隣接しています。

「小林さんち。」の2階の間取り図。洗濯機置き場など衣類家事の要素が1カ所にまとまっているのが大きな特徴
「小林さんち。」の2階の間取り図。洗濯機置き場など衣類家事の要素が1カ所にまとまっているのが大きな特徴

 「お風呂場は1階でしたよね。洗濯機は脱衣所とセットのイメージなので意外です」と城さん。河崎さんも「一般的にはそのイメージですね」と同意しながらも、洗濯機を2階に置き、衣類家事の機能を1箇所にまとめることのメリットを解説していきます。その内容は次の通りです。

【衣類家事の機能を1カ所にまとめたときのメリット】

・洗う、干す、取り込む、しまうの動線が短くなるので、衣類家事を時短にできる。

・洗濯物はぬれると重さが約1.4倍にもなる。おなかが大きい時期や、今後年を取ったときに重い洗濯物を抱えて長い距離を歩いたり階段を上ったりせずに済むのは安全面でメリットがある。

・洗面所に洗濯機を置かないので、洗面所をおしゃれに演出できる。お客様に洗面所を使ってもらうときも、洗濯物が気になることがない。

 洗濯物が多く、休日は何度も洗濯機を回している城さん夫妻はこれらのメリットに大きくうなずきます。健さんは、立ったままアイロンが掛けられる作業台が気になる様子。子どもたちは畳スペースに上がって遊び始めました。それを見て河崎さんはもう1つメリットを付け加えました。

 「共働きは寝かせる時間が遅くなりがちですが、この畳のスペースがあると夕飯の後、家族みんなで2階に上がりやすくなるんです。テレビもありますし、ここでゴロゴロしたり、おしゃべりをしたりしながら、パパはアイロン掛け。ママと子どもたちは洗濯物をたたんでしまったり、明日着る服を準備したりできます。家族でシェアして衣類家事を終わらせたら、『さあ寝よう』という流れも作りやすくなると思いますよ」

子ども専用の掃除道具置き場。自立に向けたうれしい仕掛け

 2階には他にも子どもが家事に参加しやすくなる仕掛けがありました。それは壁面の掃除道具入れ。子ども部屋に面した壁の厚みを利用しています。「子どもは自分専用の道具があるとうれしくて使いたくなるもの。ホウキやワイパー、コロコロなど子どもにも扱いやすいサイズの道具を収納しておけば、工作で散らかしてしまったときなども、自分でさっときれいにするようになります」。洗濯や掃除は子どもが将来自立するために必要なスキル。家の仕組みによって自然に身に付けさせることができるのはうれしいものです。

「チェンジングルーム」へという発想で、玄関周りのごちゃごちゃを解決

 1階のエントランスへ戻った城さん一家。廊下のようなスペースの壁面が収納になっていることに気付きます。小さな手洗いシンクや服を掛けられるポール、棚が備え付けられています。ここはどんな空間なのでしょうか。

 河崎さんは「ここは玄関から直接入れて、洗面所につながるスペース。チェンジングルームと呼んでいて、更衣室のような役割があります」と説明します。

 「帰宅したらまずこちらから家に上がり、手を洗ったり、上着を脱いだり、かばんを置きます。すると花粉の季節は花粉を室内へ持ち込むことがないですし、手洗い・うがいも帰宅してすぐに行うことができます」

 子育て中だと玄関周りが上着や帽子などで散らかりがちですが、チェンジングルームがあれば、ものの定位置が定まります。不意の来客でもドアを閉めれば見えなくなるので、ごちゃつきを感じさせません。城さんは「これはとても便利な空間」と、子育て世代の悩みを解消する工夫に感心した様子です。

 「ウッドデッキが気になります」という城さんのリクエストで一行はダイニングに面したウッドデッキへ移動。「このウッドデッキは室内と段差がないので、部屋から見たときに外につながっているような一体感があります。最近はコロナ下で外食もしづらいですが、ダイニングテーブルを半分外に出して食事をしたり、バーベキューをしたりと、ウッドデッキは食に変化をつけるのにうってつけのスペース。手軽にリゾート感を味わうことができますよ。さらに楽しみの幅を広げるのにおすすめなのが水栓を付けること。子どものプール遊びが気軽にできますし、ガーデニングやバーベキューの時も便利ですよ」と河崎さん。