家事に育児に仕事に忙しい共働き。コロナ下で家にいる時間が増え、どんな家に住むかが、家族の幸せのために重要なポイントだと実感した人も多いのではないでしょうか。そこで日経xwomanアンバサダーの城 梨沙さん一家が、住まいの体験ミュージアム「Tomorrow’s Life Museum 関東」を訪問。モデルハウス「子育てファミリーの家 小林さんち。」を、積水ハウス 住生活研究所長 河崎由美子さんのナビゲートで見学しました。そこで見つけた共働き家族が幸せになる住まいの秘密とはどのようなことだったでしょうか?

城 梨沙さんファミリー
城さんはライフキャリア総研代表取締役。パソナを経てキャリアコンサルタントとして独立。大学、自治体を対象に、年間100件以上の講演を行っている。両立支援サービス「エスキッチン」(2020年東京都主催、世界発信コンペディション 特別賞と女性活躍推進都知事賞を受賞)や育休中のファミリー向けコミュニティ「ライフキャリアリノベーションラボ」や、月に一度、ただ「できたこと」を振り返るコミュニティ「ライフキャリアサロン」を主宰。夫の健さん、小2の長女エミリちゃん、4歳の長男リク君との4人家族。実母が同じマンションの別の部屋に暮らしている。日経xwomanアンバサダー。

「脱LDK発想」の大空間で、家族の気配を感じながら過ごせる

 現在はマンションで暮らす城さん一家。「戸建てへの住み替えにも興味があります」と、「Tomorrow’s Life Museum 関東」を訪れました。ここには7つのモデルハウスが建ち、それぞれの家に暮らしのストーリーがあります。城さんたちが見学したのは、「フルタイムで働く共働き夫婦が、子育てのために建てた新居」という設定の「小林さんち。」。まさに城さん一家と重なる家族設定です。

 共働きや子育て世代の家づくりに詳しい住生活研究所長 河崎由美子さんのナビゲートでまず案内されたのは、1階のベンチがある一角。玄関の土間から続く空間で、ダイニングやキッチンよりも一段下がっています。ソファベンチがあって、テレビもあります。ここはリビングなのでしょうか?

 長男のリクくんはさっそくおもちゃを取り出して遊び始めます。城さんと長女のエミリちゃんはベンチでゆったり。「ここはこの家のリビング的役割の空間で、一段下がっていることからピットリビングと呼んでいます。人はくぼみに集まるといわれているのですが、ここも落ち着くでしょう」という河崎さんの解説に城さんは大きくうなずきます。

 「ここから向こうのキッチンまで見渡せるでしょう。住まいというとこれまではリビング、ダイニングと部屋の役割によって間取りを区切っていたと思います。でも、この家は機能ごとに部屋を分けることはせず、LDKを合わせた大空間『ファミリー スイート』を提案しています

 夫の健さんは奥まで見渡しながら、「キッチンまで壁や柱がありませんね。本当に大空間だ」。「表からは見えませんが、強度の高い梁(はり)が入っているので、実現しているんですよ」

 なぜ大空間を提案するのでしょうか。

 「家族はいっしょにいたとしても、それぞれがバラバラに好きなことをして過ごしている時間が多いのではないでしょうか。その際、家族一人ひとりが心地よく過ごすためには、それぞれの『居どころ』があることが大切です。例えば、この家の1階には、ダイニングテーブル、その脇のカウンターデスク、そして一段低くなったこのピットリビング、ウッドデッキといくつもの居どころがあります。そのため、自分が心地いいと感じる場所を見つけてやりたいことができる一方、ひとつながりの空間にいるので、お互いの気配も感じられるのです。

 また、柱や壁がないので、家族の変化に応じて、間取りを変えることもできます。『小林さんち。』には『10年たっても古くならない家』というテーマもあるのですが、大空間はそのための重要な要素といえるでしょう」

城さん夫妻と河崎さん(左)
城さん夫妻と河崎さん(左)