積水ハウスの河崎由美子さんが共働きの家作りに必要な機能や暮らし方について解説する本連載。今回のテーマは「家で働くときの空間づくり」です。同社で「働き方」をテーマとした研究開発を担当している彌重(やしげ)功さんをゲストに迎えて、お話を聞いていきましょう。

理想のワークライフバランスが取れている人は3人に1人

「いらっしゃい」とモデルハウスの玄関ドアを開けて取材スタッフを迎えてくれた積水ハウス総合住宅研究所住生活研究室長の河崎由美子さんと同室課長の彌重 功さん。<a href="https://www.sekisuihouse.co.jp/liaison/14/3077480070/" target="_blank">ビエナ4川崎展示場</a>にて
「いらっしゃい」とモデルハウスの玄関ドアを開けて取材スタッフを迎えてくれた積水ハウス総合住宅研究所住生活研究室長の河崎由美子さんと同室課長の彌重 功さん。ビエナ4川崎展示場にて

 働き方改革が今のように話題になる前から、積水ハウスでは、働き方をテーマとした住まいのあり方やライフスタイルを明らかにしようと、研究を行ってきました。「今回は研究の中で得られた調査結果をもとにしながら、どのような住まいが望ましいかをお話ししていきたいと思います」と話すのは、「働き方と住まい」という調査を行った積水ハウス総合住宅研究所住生活研究室の彌重 功さんです。彌重さんたちは2017年4月に働く男女2000人にインターネットでワークライフバランスや、副業、自宅での仕事などについて調査し、その分析を行いました。

 そこでわかったのが、理想のワークライフバランスがとれている人は3人に1人にとどまるということです。

ワークライフバランスの現実と理想について(単位%)
ワークライフバランスの現実と理想について(単位%)

 理想のワークバランスがとれている人に限っては、下記のグラフのように「生活・仕事面とも満足度が高くなっています。今後はさらにワークライフバランスが重要視されることが予想されます」と彌重さんは解説します。

現在の生活にとても満足しているか(単位%)
現在の生活にとても満足しているか(単位%)

現在の仕事(本業)に対する満足度(単位%)
現在の仕事(本業)に対する満足度(単位%)

リビングはワークとライフのバランスを取るために大切な空間

 理想のワークライフバランスはライフ(暮らし)を重要視することだけではありません。働くことにも重点を置き、上手に気分転換を行うことも、理想のワークライフバランスの在り方の一つです。彌重さんによるとフルタイムで働く女性は、仕事の疲れのいやし、気分転換の方法を4つ以上持つ人が50%以上に上った一方、男性は37.7%にとどまり、女性のほうが男性よりも多様な手段を持っていることがわかったそうです。では、その方法を見てみましょう。

日々の仕事の疲れをいやしたり、気分転換のためにすること(いくつでも、単位%)
日々の仕事の疲れをいやしたり、気分転換のためにすること(いくつでも、単位%)

 男女共に多いのが「パートナーや家族とのだんらん・会話」。パートナーや家族と過ごす時間がワークライフバランスで大きな役割を果たすことが分かります。女性がしていることでは「お茶やコーヒーなどを飲んだり、お菓子を食べる」、「おいしい食事」、「テレビ・DVDを観る」「友人との会話(対面)」など、リビングやリビングダイニングでできることが多く上がっていました。働く人にとって、リビングを中心とした空間でいかに豊かに過ごせるかが、癒やしや気分転換のためにも大切な要素になることがわかります。

家族のだんらんや、お茶を飲んだりして日々の仕事の疲れをいやしたり、気分転換をする人は多い。リビングという空間が大切なことが分かる
家族のだんらんや、お茶を飲んだりして日々の仕事の疲れをいやしたり、気分転換をする人は多い。リビングという空間が大切なことが分かる