副業志望の人がつくっておきたいラウンジスペース

 彌重さんたちが行った調査によると、将来的に副業をしてみたいという人の8割が自宅で働きたいと答えました。今回取材した展示場はそんな人にも参考になるスペースがあります。それが1階部分のラウンジです。彌重さんは「1階を靴のままでも入れるオープンなつくりにしておくと、将来お店や教室を開いたり、ギャラリーや趣味のスペースにも利用できます」と話します。地域やコミュニティの接点となるスペースを持つことで、人とのつながりも豊かになりますね。

住まいにつながる玄関ドアとは別に設けられたラウンジの扉
住まいにつながる玄関ドアとは別に設けられたラウンジの扉
1階のラウンジ。現在は打ち合わせスペース風だが、クリニックやショップ、カフェなど様々に活用できる。夫婦がふたりとも家で仕事をすることになっても、LDKとラウンジで別々の仕事場が持てる
1階のラウンジ。現在は打ち合わせスペース風だが、クリニックやショップ、カフェなど様々に活用できる。夫婦がふたりとも家で仕事をすることになっても、LDKとラウンジで別々の仕事場が持てる

共働き世帯に安心感をもたらしてくれる2世帯住宅

 今回取材に訪れた展示場は親子2世帯で同居できる4階建て。親世代の住まいは最上階の4階にあります。お年寄りが4階まで昇り降りするとなると大変そうですが? 「複数の世帯で同居する場合、家にいる時間が長い世帯が上のフロアに住むのがよいのですが、確かに昇り降りが大変というハードルが出てきてしまいますね」と河崎さん。「ですが、この家は、ホームエレベーターを取り付けたことで、その問題が解消できています。おかげでいちばん日当たりがよく、景色もよい最上階を親世代の住まいにすることができました」。キッチン、ダイニング、寝室がひとつながりになった空間には、外光がさんさんと差し込み、親世帯も気持ち良く暮らせそうです。

親世帯のキッチンとダイニング。ダイニングの椅子はソファタイプなので、ゆっくりとくつろぐこともできる
親世帯のキッチンとダイニング。ダイニングの椅子はソファタイプなので、ゆっくりとくつろぐこともできる

 「子どもが小さいうちは祖父母の手を借りたり、子どもが手を離れてきたころには親の健康が気になり始めたりします。忙しい共働きだからこそ、お互いに目が行き届くところに住むことで安心感が得られるのではないでしょうか」と彌重さんは共働きをしながらの同居のメリットについても話してくれました。

親世帯の一角にはペット用の空間も設置。心地良い空間は、ペットとの暮らしも楽しめる
親世帯の一角にはペット用の空間も設置。心地良い空間は、ペットとの暮らしも楽しめる

ワークライフバランス実現のために自宅での働き方を考えてみよう

 「ワークライフバランス」という言葉を働く環境と結び付けて考えることはあっても、住まいづくりを考えるときにワークライフバランスまで考えている人はまだ少ないのではないでしょうか。また、ワークとライフを明確には切り分けなくても、同時に進行させながら、バランス良く暮らしていくことも、一つの素敵なライフスタイルといえます。

 彌重さんたちが行った調査からは、将来自宅で仕事をしたい人が5割もいることや、将来自宅で副業を始めた場合、自宅で働きたい人が8割もいることがわかりました。自宅で働くことは、比較的自由度が高く、家事や育児、介護との両立もしやすいことから、理想のワークライフバランスを実現することにもつながりそうです。「働き方改革」が叫ばれている今だからこそ、家で働く環境について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

(取材・文/福本千秋 撮影/中川真理子)

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