私は15年間会社員として働いていました。その間は年功序列の給料制でした。労働組合で長く委員をしていたこともあり、他の社員よりも自分の給与明細を良く見ていたし、会社の人件費削減方針にも詳しかったので、諸先輩型のように気楽な放送局社員暮らしは出来ないだろうなあと先の見通しはついていました。

 それでも随分といいお給料と福利厚生制度の恩恵を受けていることを自覚していたので、仕事で嫌なことがあって思わず「あーあ、会社辞めたいな」などとぼやくことはあっても、働きながら子どもを育てるには会社にいるのが最も安泰だと知っていたのです。

 二人の子どもを産んだときには、勤務時間を減らしたこともあり、私の収入はぐっと減りました。それでも二度も産休を取ることが出来たのは、夫が働いていたおかげです。その後7年経って、私は人生は一度きりだし!などと言って会社を辞めてしまったのですが、それだって夫が働いていたからできた賭けです。一家を一人で養いながら会社を辞め、独立起業する人のプレッシャーは相当なものだろうと思います。私は会社員を辞めたとき、ああ共働きで良かったと、夫に感謝しました。

共働き家族のモデルがないままの日本

 私の父はサラリーマンで、母は専業主婦でした。姉も専業主婦です。私の周りに共働きのモデルはいませんでした。