ひとり稼ぎ手となった私はもう、めちゃくちゃ感謝して欲しくてたまらなくなりました。でも家族は意外といつも通り。そりゃそうです。毎日毎日「働いてくれて有り難う!お金を有り難う!」なんて言うのも不自然ですよね。でも、なれない大黒柱稼業にすっかり自意識過剰となった私は、家族のちょっとした一言に敏感になりました。

つい夫に「これ買ってあげる」と言ってしまう自分…これが私の正体なのか?!

 次男におもちゃを片付けなさいと注意したら「ママはいま関係ないでしょ」と返され、「関係ないって、関係ないってどういうことよー!私が働いたお金で買ったおもちゃでしょ!」とぶち切れてしまったり、一緒に買い物に行った夫にいちいち「これ買ってあげる」とか言ったり。うわ、自分が今まで軽蔑しきっていた最低な男の典型じゃんか、私。人は置かれた環境によって変わるということを、しかも自分で思っている以上に下衆な変わり方をすることもあるのだと身を以て知ったのでした。これが私の正体か…最低なおやじだな。

 そんな自分にほとほと嫌気がさしたある夜、私は夫に自分の不安と迷いを一気にドドドドーっと吐き出して、大暴れしました。怖いよ怖いよーって暴れる子どもみたいに。それから何度もそういうことがあって、次第に落ち着いてきました。よし、では今まで一度も考えたことのない「夫が仕事をしていなければ出来ること」を一緒に考えてみよう。一体何が出来るかな?

夫婦のピンチは新たなチャンス。今度は私が応援するね。

 夫はどんなに私が絡んでも「仕事を辞めて悪かった」とは言いませんでした。それが本当に救いでした。彼が考え抜いた末に、強い意志を持って自分で選んだ道なんだと私にもよくわかったからです。ああ、それなら私にも経験がある。じゃあ、今度は私が応援しなきゃ。そう素直に思えました。夫婦のピンチは新たなチャンス。最悪の自分を晒しながら、夫のすごいところをいくつも再発見したのでした。 

 以下、小島家の新たな展開は次回に続く!