大きな窓から入る自然光を取り入れた明るい保育園に、子どもたちの笑い声。耳を澄ませば、日本語の童謡や中国語の手遊び歌を楽しむ声が聞こえてくる。跳び箱やロッククライミングなどの運動スペースまである広々した室内を持つ、充実した24時間保育施設を訪ねた。

9−5時ではない多様な働き方をサポート

 韓流ブームで一躍注目を浴びた街、東京・大久保。韓国系だけではなく、中国、タイ、インドなどアジア各国を中心とした様々な国籍の料理店や雑貨店などが並ぶ。そんな活気ある店が建ち並ぶ大通りから少し静かな路地を入ったところにあるのが「愛嬰幼保学園」新宿園。24時間体制で子どもを預かる保育施設だ。東京、埼玉に4園展開する幼保一体型の東京都福祉局の認可外基準を満たしている保育施設である。

中国人の先生の掛け声に合わせて様々な動物になって楽しそうに走り回る子どもたち
中国人の先生の掛け声に合わせて様々な動物になって楽しそうに走り回る子どもたち

 近年、働き方が多様化している一方で、夜間でも預かってもらえるような保育施設は年々減ってきている。そんな中、安心して24時間預けられる園ということで、年々人気が高まっているのが、この保育園。

 園は異年齢保育を行っており、クラスは3つ。子どもたちの安全な成長を重視した0歳〜1歳クラス、自立能力の発達を促す2歳〜3歳クラス、就学前の学習準備が始まる4歳からの年長クラスだ。

 ビルの1階にある園舎の室内はゆとりがあり、子ども一人当たりの面積は認可園の基準より広いくらいだ。壁は全て上半分がガラス張りになっていて外からの光も入り、明るく開放的な雰囲気。保育の様子もオープンに見ることができ、先生たちの保育への姿勢と子どもたちの様子が伝わってきやすい。年長クラスの壁にはロッククライミング・ウォールが設置されえていたり、跳び箱など運動できるスペースもとられていた。通常は、3つのクラスに分けて保育を行っているが、壁のほとんどは可動式で、イベントのときは大きい1つの部屋として使用できるようになっている。

 恥を忍んで、持っていた24時間保育所のイメージを打ち明けてみた。

 「確かに24時間保育所というと悪いイメージを持たれることもあります。でも、子どもにとって一番大事なのは育つ環境。長い時間を過ごすこの園で楽しく安心できるように環境づくりは重視しています。部屋も認可園の基準より広いスペースですし、シャワー室や調理室も備えています。長時間預けたり、お泊まり保育をするのも段階をおくことで子どもに安心してもらいます。お子さんが園に慣れるまでは時間をかけ、先生にも慣れて安心感を持ってもらわないと、夜のお泊まり保育もスムーズにはいきませんから」

と、4園全体のマネージメントを担当している粕谷美枝さん。

 24時間空いているとはいえ、夜を通して過ごす子どもはそんなに多くはない。約60名の月極保育の園児のうち、お泊まり保育を行うのは1日20〜30人程度。どんなに長くなっても1回につき48時間以上の場合は、必ず一度お迎えに来ることになっている。他の子どもたちも様々な時間帯で登園してくるが、だいたいそれぞれの家庭によって預ける時間帯は決まっているそう。時間帯が不規則なときや延長が必要になったときも、連絡帳や保護者専用のサイトを通して連絡を取り合っている。

 場所柄、預ける親は飲食店経営者なども多いそうだが、医師、弁護士、会社経営者、自営業者など、職業も多種多様。職業も多種多様。だからこそ、定められている保育園の認可の枠にはまらず、預け先に困った人も多い。

 「4園ある中でも、この新宿園は特に国籍も職業も多様です。どうしても深夜になってしまう人、決まった枠組みの働き方にとらわれない人、シングルの人、様々な方が預けにきます。子どもたちも親の出勤時間に合わせて様々な時間に登園してきます。でも、預けている間に親御さんは頑張って働いているんです。だからこそ、私たちは手助けをしたいと思っています。急に延長になることや不規則な時間帯のこともありますが、それぞれの家庭ごとの事情があるからこそ、園でできることを協力したいと思っています」

 認可園に預けることのできない多様な働き方をしている親の力になりたい、と今後は病児保育の導入なども検討していくと話してくれた。

中国語、日本語、英語の多言語保育

 実は、この園が選ばれる理由は24時間預かり保育というだけではない。中国語、日本語のバイリンガル教育を行い、さらに英語も定期的に教えるという多言語保育を行っているのだ。