お金をめぐり、日々夫と口論になる。そんな折、決まって迫られたのが、夫の親との同居だった。

 夫が親との同居を望む理由は「家賃や光熱費が浮くから」だ。「お前が同居しないから、家賃がかかって生活が苦しいんだ」となじられた。

 もちろん家賃が浮けば生活は楽になる。でも斎藤さんは、同居は絶対に嫌だった。結婚して分かったことだが、夫の細かな借金を、義父母はずっと肩代わり返済していたのだ。

 「大人なのに」。生活は苦しくとも、自立していたかった。

正社員とパートの大きすぎる待遇差

 親から独立できない夫に対する意地もあり、仕事にはまじめに取り組んだ。

 職場は恒常的に忙しかった。誰かが辞めても、めったに人の補充はない。パートとして働いていても、誰も「帰っていいよ」と言ってはくれず、残業は日常的。保育園のお迎えも、18時の閉園ギリギリになることが増えていった。

 「時給は1年に1度、評価によって見直されました。評価は、自分、直属の上司、支店長の3人が、定められた項目に従って、それぞれ5段階で行います。その上で、この3人で面談し、評価のすり合わせを行って、時給が決まる仕組みです。私の場合、2年で上限の時給850円に到達しました」

 評価されるのはもちろんうれしい。しかし、パートでいる以上、どんなに頑張ってもこれより賃金は上がらないのが現実だった。

 加えて斎藤さんには、納得できないことが2つあった。1つはパートのサービス残業。もう1つは、正社員との給与格差についてである。