子どもの習い事は「何かしら身に付けてほしい」との思いから悩みが深くなるもの。前回「習い事 続ける、やめるの判断はどうする?」に続き、習い事について個別の難しい悩みに神戸常盤大学短期大学部准教授の小㟢恭弘さんが答えてくれた。

【CASE1】 どれが向いているのか、好きかどうかわかりません(Aくん・6歳の男子のママより)

 6歳の息子のお稽古事。向いているのかどうかがわからなくて。「やめたい」とは言わないけれど、お稽古事の最中に生き生きしていたり、好きでやっていたりといった雰囲気が感じられない。本人は歌が好きなので、「音楽やってみる?」と聞いても、のらりくらり。はっきりしない性格の子どもの意思がわからず、悩んでいます。

 続けるにしろ、やめるにしろ、親の押し付けではなく、本人の意思を尊重してあげたいのですが。

【回答】 向いているか、好きなのかはさほど気にする必要なし。お稽古で育てたいものは何?

  6歳の幼児園児は、白黒のはっきりした世界には生きていません。昨日「イヤ!」と言ったかと思えば、今日は「好き」と言うなど、その日の気分で変わることは、しょっちゅうです。大人相手に接しているのと同じような気持ちでいませんか?

 「子どもの意思を尊重したい」と親が思いすぎることは、子どもには少々荷が重いことかもしれません。「好き」「嫌い」が自分でもよくわからない世界に子どもは生きているのに、親から「あなたの気持ち次第なのよ」と決定権を譲り渡されても、子どもは困ってしまうでしょう。

 親がこれだけ揺れてしまうのは、「ほかの子もやっているから、うちも」と思ってお稽古事をさせていたからではありませんか?

 「こんなことを身に付けさせたい」と親が考えて、「これやってみない?」と子どもにお稽古事をさせることは、全く悪いことではありません。「子どもの意思を尊重していない」ということにも、ならないと思いますよ。

 無理して「向いているか」を見極める必要は、全くありません。それよりも、親自身がお稽古事を通じて、子どもの何を育てたいと思っているかを考えてみてはどうでしょうか。