佳恵さんは、大学生時代にライター業を始め、有名女性誌「CanCam」のファッションディレクターを務め、ブームの立役者として活躍した編集者。

現在は、媒体、タレント、店舗、商品など、女性向けのコンテンツを企画・開発するONE to TENのブランディングクリエイター兼COOや、2014年3月にインフォレスト社が新創刊する雑誌「ニカキレ」(隔月刊)のエグゼクティブプロデューサーとして忙しい日々を送りつつ、14歳の娘を持つママでもあります。14年間の育児を振り返り、その軌跡と葛藤、また現在直面している「思春期の子どもとどう向き合うか?」というテーマでお話を聞きました。

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―― 佳恵さんが結婚されたのは、キャリアを振り返ると、どのような時期だったと言えますか?

渡辺佳恵さん(以下、敬称略) 結婚したのは、ライターとしてようやく一人前になりかけていた時期でした。思いがけずすぐに妊娠し、まだもう少し自分を確立してからの方がよかったのに……と正直戸惑いましたが、せっかく授かった命。産む直前まで仕事をして、産後もなるべく早く復帰することを決め、出産に臨みました。

 8月に産んで、 翌年度4月から保育園に預け仕事に復帰するつもりでしたが、何しろ根っからの仕事人間で(笑)。11月くらいには、もう仕事がしたくてうずうずし、編集部に「仕事に戻ります」と宣言。しばらくは保育園の一時預かりを利用してしのぎ、4月から保育園に正式に入園させ、本格的に仕事に復帰しました。

「CanCam」編集部時代は育児との両立に悩んだ時期も

―― 保育園時代は今以上に忙しかったと思うのですが、どうやって乗り切っていましたか?

渡辺 忙しい時期は保育園のお迎えに間に合わないことも多々ありました。そこでよくお世話になったのが武蔵境駅近くのひまわりママというNPOの保育サービス。子育てを終えたおばさまが孫を見る感覚で家に来てくれるのです。保育園に娘を迎えに行ってもらい、冷蔵庫に用意しておいた食事をレンジで温めて食べさせてもらい、その後にお風呂に入れて、寝かしつけをしてもらいました。娘とも私とも気が合う方が見つかり、同じ方にずっとお願いしていましたね。

 会社員の夫は、保育園のお迎え時間に間に合わせることは難しい業種でしたが、頑張ってシッターさんがいる時間に帰宅してくれることもありました。

渡辺 初めてのお母さん業に手こずって、正直いっぱいいっぱいになってしまう時期もありました。「娘はママと離れたくなくて泣いている」「仕事もちょっと中途半端」でどちらもストレス……。「何のために働いているんだろう? もう辞めようかな」と思ったことが一瞬だけあって、保育園の先生に相談したんです。