2010年の厚労省の調査によると、「第3号被保険者」のうち、まったく職に就いていないのは約57%。残りはなんらかの形で職に就き、多少なりとも収入があるのだ。

厚生労働省の資料から
厚生労働省の資料から

 要するに「パートなどで夫の扶養の範囲から外れない程度に働いている」という女性の多くが「第3号」となっているわけだ。それならば、収入があるそれらの女性たちにも年金保険料を負担してもらう形にすれば、「第3号」は大幅に縮小する。最終的な解決にはならないが、「収入があるならば、その収入に応じて保険料を負担してもらう」という自然な形に持ち込むことができる。「男性も女性も働くのが当たり前」という社会が実現すれば、同時に第3号被保険者制度も自然消滅するわけだ。

 では今、パートの年金がどうなっているのか。政府はそれをどう見直そうとしているのかを見ておこう。

条件付きだが、週20時間以上働く人は厚生年金に加入へ

 下記の図を見てほしい。

 パート労働者が保険料を払う年金制度の加入者になるかどうかは、まず労働時間で判断する。原則は、正社員の労働時間と比べ、その4分の3以上働いていれば厚生年金に加入して給料天引きで厚生年金保険料を払うことになるのだ。

厚生労働省の資料から
厚生労働省の資料から

 今、所定労働時間は週40時間という会社が多いので、週30時間以上働けば厚生年金に入ることになる。30時間未満の人で、夫が厚生年金や共済年金に入っている人は「第3号被保険者」になれる。ただし、30時間未満でも年収が原則130万円以上ならば、「第3号」にはなれず、国民年金に加入して「第1号被保険者」として自分で国民年金保険料を払わないといけない。

 政府はこの現行制度を見直し、2016年10月から週20時間以上働けば厚生年金に加入してもらう形に改める方針。ただし一気にこうすると影響は大きい。そのため、従業員が501人以上の企業に勤めるパートで、月額賃金が8万8千円以上(年収106万円以上)、勤務期間は1年以上といった条件を付けることにした。

 週20~30時間で働くパートは400万人ほどいると見られるが、この制度の見直しによって20万人ほどが新たに厚生年金に加入する見通し。将来的にはこの条件をさらに緩め、できる限り多くのパートを厚生年金加入にしたい考えだ。

厚生年金保険料を払った方が得だという試算も

 「パートなのに厚生年金保険料を払うのは損ではないか」との声もあるが、それは誤解に基づいている部分も多いようだ。