このような声を背景に、第3号被保険者制度について、見直しの検討がなされてきた。2001年12月にまとめられた厚生労働省の検討会「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」報告書では、おおまかに言うと、次のような改革案が提案された。

(1)夫の賃金の半分は専業主婦の妻のものと見なして、その賃金に対して妻にも保険料負担を求める。
(2)専業主婦の妻に国民年金保険料を負担してもらう。
(3)専業主婦を持つ夫に妻の分の年金保険料を負担してもらう

 専業主婦には収入がないとすると、上記のいずれの案も結局は夫の収入から妻の年金保険料を払う形となる。その分の負担ができる夫はいるかもしれないが、中には払えない人もいるだろうし、「払いたくない」という人もいるだろう。

 そもそも1986年の年金制度の大改革で「第3号被保険者制度」ができたのだが、これは「保険料を払えず老後に自分の年金がないという専業主婦にもなんとか年金を支給しよう」と、わざわざつくった制度だ。それを今さら帳消しにしてよいのかという意見もある。

 そんなこんなで、「第3号」の見直しは、今に至るまで進んでいない。

 ところが、少しだけ解決に向かう道筋が見えてきた。その道筋とは、「パートとして働く女性たちにもどんどん厚生年金に入ってもらおう」というものだ。

パートの女性にも年金保険料を負担してもらう!?

 「第3号被保険者」とは、正確に言えば「会社員や公務員に扶養されている配偶者」。妻が正社員として働き、その妻に扶養されている夫も「第3号」となる。とはいえ、「第3号」の大半は専業主婦の妻だ。

 その専業主婦をさらに詳細に見ていくと、本当に収入がまったくないのかという疑問に突き当たる。