大阪市では、校長主導のマネジメントで「特色のある学校づくり」が求められている。特色を出す以前に、学校には解決すべき課題がある。1学期の間は、課題解決を中心に動いてきた。どの教職員も、「子どものため」という軸を持って、日々奮闘している。管理職は少し先を見て、子どもたちのチャレンジを支援する。

 「一歩前へ!」と、9月の学校だよりに書いた。

 「自分には無理」ではなく、「やってみる」。そのためには、チャレンジをバカにしたり、失敗を笑ったりしない学校づくりも大事だ。そして、どんなに才能があっても、一人では何もできない。公教育が大事に育ててきた「豊かな心」や「思いやり」は、10年後も変わらず大切だ。誰にでも得意・不得意がある。個性がある。互いを認め合う気持ちを、より一層育てなければならない。

 たくさんの外国人の若者が日本企業で就職し始めている。意欲のある人材だけが、海外に出ていく時代は終わった。今は、国内で多彩な人と一緒に働く時代だ。物おじせず、コミュニケーションを取る大人になってほしい。2学期から学校に来たネイティブの外国人講師に、思うように話しかけられない自分を奮い立たせながら思う。まずは大人から。

大阪市では9月から中学校区に1名の外国人講師が配置される。敷津小学校にはガーナ人の明るい男性講師が来てくれた。ちょっと引っ込み思案の子どもたちも、あっという間にひきつけられていた
大阪市では9月から中学校区に1名の外国人講師が配置される。敷津小学校にはガーナ人の明るい男性講師が来てくれた。ちょっと引っ込み思案の子どもたちも、あっという間にひきつけられていた

 小学校の英語教育について、全国学力テストの結果公開について、土曜授業について。複数の視点からの意見が入り乱れるたびに、自分の学校の子どもたちの顔を思い浮かべる。

ていねいさは、優しさではない

 困った時は原理原則に帰ろう。

 その判断、その方針は「子どものため」になっているだろうか?

 「今の子ども」にプラスでも「未来の子ども」のためにならないこともある。

 ベテラン教師がつぶやいた一言が、心に刺さっている。

 「ていねいさは、優しさではない」

 手取り足取りで自信をつけさせる時期と、自立に向けて手を離す時期と。

 2学期は、運動会や芸術発表会など大きな行事が待っている。行事にまぎれて、学習面で集中力が落ちる時期でもある。教職員が子どもたちを引っ張っていく。そして管理職が教職員を引っ張っていく。チャレンジする大人を見て、子どもは伸びていく。

 さあ、新学期。

 ぐっと大きく、「一歩前へ!」

[本記事は日経DUAL編集部が2013年9月3日付日本経済新聞電子版に寄稿した記事を再構成しました]