先日、校長会による新任校長研修があった。

糸井教頭による校内研修。電子黒板を使い、漢字のなりたちを楽しく教えてくれた。公立小学校も積極的に新しいツールを取り入れている
糸井教頭による校内研修。電子黒板を使い、漢字のなりたちを楽しく教えてくれた。公立小学校も積極的に新しいツールを取り入れている

 その中で「困ったら原則論に立ち返れ」と言われた。学校運営における原理原則は「子どものため」。どんなに意見が割れても、「子どもたちにとってのベスト」を考えると、落としどころが見えてくる。そこで「どんな子どもに育てたいか」のビジョンを共有する必要がある。12歳の子どもたちは、10年後には社会に出る。どんな時代になっていて、どんな力が求められているか。

 各学校にはもともと「学校教育目標」があり、ホームページに書かれていることが多い。自分の子どもが通う学校の教育目標を言える人は少なく、児童も認識していない学校もある。

 大阪市外のある民間人校長の方は、学校教育目標を変えるのに3年かかったそうだ。私もたまに言われる。「140年の歴史のうちの、数年を預かっているだけ」。それも一理あるが、インターネットがインフラになったことと、アジア諸国が力をつけたことで労働市場は激変している。時代に合わせて変わるものを、受け入れる柔らかさも必要だ。

「未来をつくる子ども」を育てる

 私は、従来の学校教育目標を「守るべき伝統的教育目標」としてとらえている。「じょうぶなからだ 豊かな心 考え やりぬく子」。特に「考え やりぬく子」は、これからも変わらず必要な力だと思う。この目標を基盤に、学校教育目標を新たに設定した。

 「未来をつくる子ども」

 この10年を振り返っても、消えた市場、なくなった職業がある。夫の実家は小売りの米屋だが、時代の流れについていけずに閉店してしまった。一方、ネット販売やギフト需要、自然志向に目をつけた米屋は生き残っている。情報を集め、多角的に考え、深く思考を掘り下げて判断し、行動する。前例にとらわれず、試してみる。頭の柔らかさと粘り強さの両方を、育ててやりたい。私たち大人もまだ知らない時代を知恵と勇気で切り開く、「未来をつくる子ども」を。