下記の図は厚生労働省が2009年の時点で計算したもの。世帯として同じ給料ならば、同じ保険料で同じ年金額となる関係を改めて整理してある。

厚生労働省の資料から
厚生労働省の資料から

老後に備えるならやっぱり妻も働いた方がいい

 さて、どうだろう。思っていたほど専業主婦優遇でもないと思われたかもしれない。世帯として同じ収入である限り、世帯としての負担と給付に差はなかった。制度は意外と公平を重視してつくられていた。

 ただし、厚生労働省の試算を見てもわかる通り、世帯で夫しか働いていないと、夫は厚生年金+国民年金をもらうので、年金額が多く、妻は国民年金だけなので少ない。

 できることなら、妻も働いて厚生年金と国民年金を両方受け取り、自分の分の年金を増やしたいところ。

 万が一離婚という事態になり、老後を一人で生きていくことになった場合、年金は多い方がよいに決まっている。

 夫婦で老後を迎えたとしても、妻の分の厚生年金もあれば、それだけ世帯としても年金が増えて老後の安定にもつながる。介護が必要になったとき、老人ホームに入らないといけなくなったときなど、収入が多いほど選択肢も広がる。年金が多くて困ることはない。

 しかも、この制度を変えようという動きが見られるのだ。

(後編「年金制度、パートでも保険料を払う方向へ」に続く)

(文/日本経済新聞社編集委員 山口聡)