次世代認定マーク(愛称:くるみん)
次世代認定マーク(愛称:くるみん)

後藤 国が2005年から施行した「次世代育成支援対策推進法」が大きな要因だと思います。

 例えば、この法律で定められた「くるみんマーク」を見かけた人は多いのではないでしょうか。従業員の仕事と育児の両立支援の基準を満たしている企業が認定を受け、名刺や商品パッケージにマークを付けることができます。

 この法律は2005年度からの10年間の時限立法だったため、2014年度(2015年3月末)までで終わる予定でした。しかし、企業間で温度差があり、まだ両立支援が十分浸透しているとは言えず、特に中小企業ではまだ進んでいないという現実もあります。

 この現状を踏まえ、さらにパワーアップさせて10年間継続することが、この2月中旬に決まったばかりです。今の「くるみん」マークを与える制度に加え、さらに積極的な企業を認定する「プラチナくるみん(仮称)」も創設される予定です。

―― 出産適齢期に当たる女性社員が多い企業では、第一子出産後の復帰者がかなり増えているようです。

後藤 それは、23歳前後で働き始めた女性が、法的制度の後押しのおかげで会社の制度を利用して育休を取得するようになった、と考えれば納得しやすいと思います。

出産退職する女性は、20年間で6.5%増加している

―― 先述の「出生動向基本調査」によると、出産を理由に退職した人の割合は、2009年までの20年間で37.4%から43.9%に増加していますね。

後藤 この背景には2つの要因があります。1つ目は、「妊娠前から無職」である女性がこの20年で35.5%から24.1%に減少していること。つまり、女性でも一旦は就業するケースが増えた。一度も就業しない女性が減った代わりに、一度就業して出産で退職する女性が増えた、という現象につながっています。

 2つ目は、妊娠前に辞める、つまり、結婚を理由に退社する女性が減ったことです。かつては女性は出産ではなく、結婚を理由に寿退社していました。近年では結婚を理由にした退職者は減り、相対的に出産退社が増加しています。

 この背景にあるのが、女性の雇用形態の変化です。企業が派遣社員などの非正規の雇用を拡大させてきました。現在、法的には派遣社員でも育休を取得できるようになってきてはいるものの、「マタハラ(マタニティーハラスメント)」に象徴される厳しい現実が依然存在します。

 正規雇用者の中では育休を取得し、復帰する女性社員が増えています。両立支援制度を整備し、実際に使えるようにしている企業が少しずつ増え、育休取得が順当になされているということだと思います。