保育園の掲示。徐々に広がっていく感染症
保育園の掲示。徐々に広がっていく感染症

 子どもが通っている保育園や学校ではインフルエンザやノロウイルスが流行、オフィスでもちらほら…という人も多いのではないでしょうか。感染症が心配な季節です。

 園や学校、人込みだけでなく、一日の長時間を過ごすオフィスや家庭にも、感染症の原因となる危険があちらこちらに潜んでいます。予防策として、マスクやうがいをしている人を見かけますが、それだけで本当に大丈夫なのでしょうか?

マスクやうがいだけでは防げない「接触感染」

 『バイ菌・感染症から家族を守る 徹底!手洗いラボ』(以下、『徹底!手洗いラボ』)で実験の監修を務める聖マリアンナ医科大学の國島広之先生によると

 「インフルエンザなどの呼吸器感染症は、「飛沫感染」によりヒトからヒトへ伝播することを知っている人は多いが、「接触感染」も見落とせない感染ルートであることは意外と知られていない」という。

 「手指衛生(手洗い)の実施により、インフルエンザの2次感染の減少がすでにいくつか報告されており、家庭内や施設内で発生するインフルエンザ等の感染症は、飛沫感染に加えて、飛沫した咳などに含まれるウイルスが付着した手で、様々な物に触れ、その物を別の人が触れることで感染するケースも考えられることを意味している」と言います。

 インフルエンザに留まらず、ノロウイルスや身近な風邪の場合も「接触感染」には要注意です。

 例えば、風邪をひいて咳やくしゃみが出るときに、自分の口や鼻を手で覆う人も多いと思います。その手で、電車のつり革、エレベーターのボタン、エスカレーターの手すり、共用のパソコンなどに触れれば、その場所はたちまち風邪のウイルスに汚染されます。

 汚染された場所にほかの人が触れることで、指や手のひらにウイルスが付着。自身の指を介し、ウイルスが口や鼻、目から体内に入ることによって、風邪の感染が引き起こされるのです。

オフィスではどのようにして感染は広がるのか

 では、実際にどのようなルートで接触感染が広がるかを見てみましょう。

 ブラックライトで光る蛍光塗料をウイルスに見立て、オフィス内の接触感染ルートの可視化を行いました。実験方法は、以下の3ステップ。感染者の動きを、5分ごとに2時間にわたって観察しました。