これまで日本では多くの企業において、女性社員は男性社員のアシスタントと位置付けられ、出産と同時に「寿退社」するのが常識と考えられていた。特に工業系製造業は、その特徴が色濃い業種の一つだ。国を挙げての「女性活用促進」が活発化する今、男性社会の価値観が根付いた企業では、意識改革・風土改革のためにどのような取り組みが行われているのだろうか。

 日本の製造業の中心地といえる東海地区において、熱心な女性活用の取り組みが注目されているのがトヨタファイナンス株式会社だ。2011年には「名古屋市女性活躍推進企業」として優秀賞を受賞、2012年には「愛知県ファミリー・フレンドリー企業(社員が仕事と生活の調和を図ることができるよう積極的に取り組んでいる企業)」として知事表彰を受けている。

 トヨタファイナンスが仕事と育児の両立支援という課題にどう向き合い、どう解決策を見いだしてきたのか。その軌跡を、上下2回に分けて紹介する。

 トヨタファイナンスは1988年、トヨタ自動車株式会社の「中長期融資業務」「集金代行業務」「設備等リース業務」「保険代理店業務」を継承する形で分社化、設立された。2001年にはクレジットカード事業に進出。この時期、中途採用により、300社以上もの金融関連会社から人材が集められた。現在の社員数はおよそ1400人。うち、およそ4割が女性だ。

 少子高齢化に伴って労働力が減少する中、同社では、女性の能力を生かして戦力化することを重要課題と認識。2010年、総務人事部内に、仕事と家庭の両立を支援するための専任担当者が置かれた。

育休取得者が2007年には5人、2012年には50人以上と10倍に

 2007年には年間5人程度だった育児休暇取得者が、2012年には50人以上に増加。育休取得後に復職し、短時間勤務制度を利用して働く女性も、ここ5年ほどで約7倍にまで拡大している。業容拡大を続け、多忙を極める社内では、以前は「出産したら仕事は続けられない」というのが当然の認識だった。しかし、その意識はここ数年で大きく変化している。

次ページから読める内容

  • 変化を促進する制度作り、それを支える「ポジティブアクションチーム」
  • 「子どもができた!」と明るく報告できる社風づくりにまい進
  • 妊娠した社員と上司をサポートする「両立コミュニケーション面談」を実施
  • 「保育所へは自転車で送迎?」「雨の日はどうする?」……、細部まで共有するのは上司の役目

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