共働き世帯にとって、家での家族団らんは貴重な時間だ。意識しなくても家族が集まり、コミュニケーションをとれるようにするには、どんな間取りが有効なのか――建築家の視点から探った。

プライベートとコミュニケーションの両立が工夫のしどころ

 夫婦共働きの家選びは何を基準にすればいいのか――前回は「共働きならこう変わる!住宅選び、3つの新鉄則」で住宅選びの基準を紹介した。時間の制約が多い共働き家庭なら、家族のコミュニケーションをいかにとるかが大きなテーマの一つ。自然と家族が集まり、食事をしたり会話を楽しんだりする時間を確保するには、間取りにも工夫が必要だ。従来のように個室とリビング・ダイニングを単純に区割りしただけの間取りだと、ともすれば家族が個室に閉じ籠もり、コミュニケーションが希薄な家になってしまいかねない。

 共働き向けプランの「トモイエ」を扱っている積水ハウスでは、家の中で家族がつながる「カフェコーナー」という考え方を提案している。パナホームが提唱するのは、開放的なアイランド型キッチンとダイニングを一体化し、家族が共同で料理や家具を楽しめる間取りだ。また、大和ハウス工業もリビング(ヒロマ)とダイニングキッチンを半透明の可動式間仕切りで仕切る共働き家族向けの注文住宅を扱っている。

 こうした動きはマンションでも進み始めている。三井不動産レジデンシャルが川崎市で開発中の「パークタワー新川崎」では、コミュニケーションもしやすいようすべての居室の入り口がリビング・ダイニングに面するリビングイン設計を一部の住戸に採用している。同社は1月31日、2つの住居の間を外に出ずに行き来できるようにした住居「TSU-GU-IE」(ツグイエ)も発表した。共働き世帯などが親の世帯の隣に住むことなどを想定しており、「パークタワー新川崎」で販売する。ライフスタイルの変化に合せ、将来的に一方の住居を賃貸や売却に出せるのが注目だ。