……挙げていったらキリがない。親も変わったが、何より、息子・虎蔵(仮)が変わったし、たぶん、これからも変わる。もっと変わる。テレビの画面に、絵本の1ページに、新聞の広告に、自動車が写っているのを見ただけできゃあきゃあ笑って喜ぶようになった2014年1月の息子は、いったい、どんな15年1月を迎えるのやら。

ま、先のことは心配せずに、今は甘い父親でよしとしておきますか……

 こちらはこちらの先が読めず、息子の変化も予想ができない。となれば、未来の親子関係がどうなるかなんて、分かるはずもない。今は甘い父親になる自分しか想像できないが、ひょっとすると、厳格極まりない明治の親父になっている可能性だって……少しはある。辛口ライターとしての切れ味を取り戻すことだって。

 考えてみれば、将来の深刻な夫婦喧嘩を予測して甘い約束を交わす夫婦なんぞいないわけだし、ま、今は何を言ってもいいってことにするか。将来、この文章を読んだ息子から抗議をされたら、狼狽しそうになる自分を押し殺し、「は? そんな昔のことは忘れたな」としらばっくれることにする。

 ……そういう経験ならば、皆無ではないし。

ふにゃっと柔らかい虎蔵(仮)を膝の上で寝かせつつ、の仕事にも慣れた
ふにゃっと柔らかい虎蔵(仮)を膝の上で寝かせつつ、の仕事にも慣れた

妻のアトコメ

 まぁ、人間変われば変わるものだということ。

 確か、結婚したての頃、「いつか子どもは欲しい」と言っていた私に向かって、「別に、そうは思わん」というそっけない言葉で応じていたのはどこの誰でしたっけ?

 それだけでなく、「全く文化の違う外国で暮らすという体験(スペイン留学)以上に、自分を変える体験なんて、ない」と言い切っていたことも、お忘れじゃないでしょうね。

 その頃の自分に言ってやってくださいな。「いやいや、子どもができたら、留学なんて比じゃないほど、変わるぞ、お前」って。

 でもまぁ、いいじゃないですか。この年になって、昨日までの自分が信じられないくらい、新しい自分を発見できるなんて経験、なかなかできるもんじゃない。虎のおかげで、ボケるのを遅らせることもできるかもしれないよ。親孝行な子だ。