子どもの目から見る世の中は、まさに不思議がいっぱいのワンダーランドです。子どもと会話をするときは、できるだけ頭の中にある「ジョーシキ」を排除しておきましょう。
子どもはときどき、答えなんてない、突拍子もない質問をします。「なんで海は遠くから見ると青いのに、手ですくうと透明なの?」みたいな質問です。
子どもの「なんで?」に答えるのは、親の重要な役割です。しかし、必ずしも科学的に正しい答えを教えることが大切なのではありません。ふとしたことに、疑問を抱き、それを「問い」として認識し、言葉として発することができたことこそをほめてあげるべきなのです。
正しい答えを知ることも大切ですが、もっと大切なのは、「えっ、なんで?」とか「これ、おもしろい!」などと感じる感性を伸ばすことです。
だから、子どもが突拍子もない質問を発したときには、親としては、いきなり考え込むのではなく、まずひと言、「いい質問だねぇ!」と、質問を発したこと自体をほめるように心がけてください。
大人の視点からすると、イタズラは「困ったこと」ですが、そもそも子どものイタズラは、好奇心や発想力、実行力のなせる技。「これをこうしたらどうなるのだろう」という、世の中のしくみを確かめるための、いわば実験なのです。
まったくイタズラをしない子どもがいたとしたら、そっちのほうが心配です。好奇心や発想力、実行力が欠如しているのかもしれないからです。それほどに、子どもにとって、イタズラはなくてはならない機会なのです。
ですから、イタズラの結果はさておき、好奇心や発想力はほめてあげなければなりません。カンカンに怒っているママを前にして大きな声では言えないでしょうけれど、センスを感じるいたずらに関しては、「いいイタズラだねぇ」とこっそりほめてあげることもときには必要です。それも夫婦の役割分担といえます。
そのかわり、イタズラの結果、誰かに迷惑をかけたり困ったことが起きたのであれば、それを諭すのもセットにしなければなりません。「こういうイタズラをするとこういう結果になるのだ」ということを学ぶこと自体が、イタズラという実験から得られる教訓なのです。
次回は、「気持ちを受け止めて、心の折れにくい子にする」ためのワンフレーズを紹介します。