Q. そのセミナーを通じて参加した女性たちには具体的にどのような気づきがあったのでしょう?

山本 忘れてしまっていた夢を思い出した方、本来かなえたかったキャリアの方向性を思い出した方、人の作品を見て、自分の世界を違う目線で見れば、もっと広げられるのではないかと感じた方などがいらっしゃいました。

 また、身近な例ですと、子育てに夢中になるあまり、落ち着いてご飯を食べられていない自分を再発見し、自分が何より求めているものは「ゆっくりごはんを食べられる時間」だったことに気付いた方もいらっしゃいました(笑)。

 もともとは会社帰りに立ち寄ってもらいたいという意図で開始時間を18時に設定していたのですが、小さいお子さんをお持ちの女性から「もっと早い時間にしてくれれば参加できたのに……」という声が多く届きました。この反省点を今後に生かそうと思います。

大貫浩康さん その他、介護・暮らしジャーナリストであり、NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんによる「介護をしながら仕事をする~知っておきたい3つのポイント」という講演会も今回初めて実施しました。太田さんのお話にあったのですが、ある調査によると、就労者の8割が「介護に不安を感じている」そうです。(詳しくは、平成24年度厚生労働省委託調査:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成24年度 仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」22~25ページを参照)

Q. 共働き世帯にとっても、介護は近い将来に遭遇する身近な問題です。

介護のポイントは「対話」「情報収集」「お金」

山本 介護に関して、共働き世帯の皆さんに知っておいていただきたいポイントは大きく3つ。「対話」「情報収集」「お金」の大切さです。

 まずは、親とよく対話すること。これが「意外と難しい」と太田さんは言います。あくまでも親の人生であって、介護も親の意思ありき。「私だったらこうしてほしい」という自分の思い込みを押し付けると物事があまりうまく進まないそうです。

 介護サービスに関する情報収集という点については、介護休暇の使い方に関して注意しましょう、というアドバイスがありました。介護休暇を実際の介護に当ててはいけない、というのが太田さんの方針です。