これからの時代、相手に迷惑を掛けるなどと思わずに自分の弱みも時にはさらけ出して周りの人に助けてもらわないと生きていくことはできません。もちろん、本人が頑張るという条件は最低必要ですが、みんな誰かの役に立ちたいという優しい気もちを持っているものです。頼られれば断らない人がほとんどでしょう。

 最近では育児中の女性の評価をめぐる議論が盛んです。会社の仕事はチームでするものですから、時短勤務者でも以前と変わらない成果を挙げていれば会社は評価すべきですし、誰かが時短勤務者をフォローしているならその人の貢献度合いを評価して見合った報酬を与える必要があるでしょう。

育児、介護、病気、海外留学……、迷惑だとか考える必要はない

 そもそも育児に限らず、病気や海外留学や出張などみんな一人ひとりの事情を抱えているものではないでしょうか? 迷惑だとかしわ寄せだとか考えず、ゆとりをもって考慮しながらチームで支え合えるようでないと社員はイキイキと働けませんし、会社への忠誠心も育ちません。

 また、家庭を見れば、仕事さえしていればいいという育児・家事に非協力な夫に関しては「女が家を守り、男は仕事」という前時代の親の影響もあるのでしょうが、やはり妻や社会が「育児や家事は楽しいものである」と教育していく必要があります。

 私の場合、駅に迎えに来た子どもたちと手をつないで家に帰る道すがら、子どもたちが口々に語る今日一日にあったことに耳を傾けるのは至福の時間でした。こんなに楽しいことを妻に占領されるのはもったいないとさえ感じたものです。

 家族に真剣に向き合えない人が、会社で部下や上司に真摯に向き合えているとは思えません。仕事一筋で家庭を顧みないのは、人生で一番大切なものを失うことになりかねません。定年後に熟年離婚を切り出されては取り返しがつかないのです。