それでいいのです。いや、子どもを伸ばすためにはそのくらいがちょうどいい。一から十まで親がしてくれたら、子どもは「自分では何もできない子」になってしまいます。隣でいちいち親が指示を出していると、子どもは、指示がないと動けない「指示待ちっ子」になってしまいます。適度にほおっておかれるからこそ、「自分でできる子」になるのです

 高校の漢文の時間に「(飢えた者には)魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という訓話を読んだのを覚えている人も多いのではないでしょうか。飢えている者に魚を1匹与えてもその場しのぎにしかならないが、魚の釣り方を教えれば一生食うに困らないようにしてやれるという話です。

 子育てもそれに似たところがあります。手取り足取り指示を出したり、代わりにやってしまったりするのではなく、子どもが自分で取り組む気持ちと能力を引き出すことが、教育の本来の意味です。

 子どもといつでもべったりできる距離感にいながら、意識的に距離を保ち、子どもが自らの力を発揮するのを待つことは、プロの教育者でも難しいことです。「忙しい」「時間がない」状況だからこそ、半強制的にそのような距離感を保てるという場合もあるのです。

たとえ3分間でも、子どもに100%集中してあげてほしい

 いかがでしょう。忙しいことも、時間がないことも、考え方次第でポジティブにとらえられることがわかるのではないでしょうか。

 だからといって、忙しさにかまけて、子どもにさみしい思いをさせることには感心できません。