前述の取り組み以外にも、「図書館の時間」もその1つ。1日3時間程度を本の時間に充てている。本を読むだけの時間もあるが、そこから発展させ、絵本に出てくる葉っぱや木の実を拾いに行ったり、工作をしたり、1冊の本から発展させ、遊びにもつなげていくのだ。

絵本の時間は、子どもたちが大好きな時間。1人で読むのも、友達と読むのも、先生に読んでもらうのもどれも楽しい!
絵本の時間は、子どもたちが大好きな時間。1人で読むのも、友達と読むのも、先生に読んでもらうのもどれも楽しい!

 「それだけの展開に広げていくには、保育士の力量も求められます。でも、そこから発展する物語があるからこそ、子どもの記憶にも残っていく。年齢ごとの子どもの“旬”を大事にしてあげながら、絵本から広がる世界を大事にしてあげたい」

 教室にも多くの絵本が並んでいたが、それ以外にも小さな図書室も用意されており、2畳ほどのスペースは子どもたちの基地のようになっている。銘々のお気に入りの場所で絵本を読む姿が、取材中にもよく見られた。

 食事や午睡など時間によって決められていることもあるが、これもその日の子どもたちの様子で柔軟に対応している。遠くの公園まで遊びに行く日は、食事や午睡を少し遅らせたり、お弁当を持っていったり。お昼寝も年齢や個人によって必要な長さが変わっていくため、親と相談しながら5分単位で調整している。その都度の成長や状況に合わせて、子ども一人ひとりに寄り添いつつ、好奇心を伸ばしてあげる。そんな時間の流れがここにはある。

■入園申し込みは、出産前からも

 ユニークな保育方針に共感し、区外から登園してくる子どもも多いという。自転車、電車、車、様々な手段を使って登園してくる。入園審査は特にしていないが、保育方針に共感し、自然と同じような思いを持つ親が集まってくるそうだ。認可外保育所でありながらも、6歳の卒園までほぼ全員途中退園せずに進級していく。中には、妊娠中から入園申し込みをする人もいるというほどの人気ぶり。35人の定員は、いつもいっぱいだ。

開放感のある一番年長クラスの部屋。取り組みに合わせてイスやテーブルを配置して自由に使っている
開放感のある一番年長クラスの部屋。取り組みに合わせてイスやテーブルを配置して自由に使っている

 保育士は、全部で12名だが、担任4名以外はフリーで動く体制をとっているため、必要に応じて配置することができ、こまめなケアにつながっている。

 保育料は、1歳の場合10時間保育で月9万7000円。調理室がないため、給食は外部からの配達を受けている。認可外保育園としては少し高めだが、自然の中での活動や様々なプログラムに共感し預けたい親が殺到するほどというのも納得できる。お受験指導は一切していないが、例年、私立や国立の小学校に進む子ども少なくないという。子どもたちが持っている興味や好奇心を存分に刺激してくれる保育園。もうすぐ10年目を迎えるという保育園の今後が楽しみだ。

DATA
ロハスキッズ・センター クローバー
世田谷区玉川1-7-7 玉川ハイツ1F
TEL 03-5797-5420
http://www.cc-clover.com/

(取材・文/岩辺みどり 撮影/小林秀銀)