■大人の架け橋となる子ども

 クラスは、5カ月〜1歳過ぎ、1〜2歳、3〜5歳の3つの縦割りの異年齢保育で行われ、時によって一緒に外遊びや取り組みをすることもあるという。ここの子どもたちはまっすぐだ。取材に入って来た、見知らぬ大人の私たちにも「こんにちはー!」と元気に挨拶してくれる。しかし、またすぐに読んでいた絵本や話していた友達に顔を戻し、楽しそうに銘々の時間を過ごしている。保育園の取材では、取材に訪れたスタッフに対して子どもたちが身構え、言葉を交わさないことも珍しくない。また逆に珍しがって寄ってくることも多いのだが、そのどちらでもなく、極めて自然に受け入れていたのは驚きだった。

異年齢で過ごすことが多いため、ヨチヨチ歩いている子がいると年上の子がすぐに手を差し伸べて一緒に歩き、一緒に遊ぶ
異年齢で過ごすことが多いため、ヨチヨチ歩いている子がいると年上の子がすぐに手を差し伸べて一緒に歩き、一緒に遊ぶ

 「この園を立ち上げるとき、嘘のない保育を作っていきたいと思いました。大人と子ども、親や保育士を始め、様々な大人との関わり、地域の人との関わりの中で生活しているのに、不自然に間に線を引いてしまっている気がします。ここでは、様々な大人との接触を大事にして、その中で自分たち子どもの生活があるのだということを気づかせるようにしています。また、保育園は、子どもが架け橋になって大人と大人をつなぐ場所でありたいとも思っています」(中田さん)