「家事育児に協力するのは大変。でも、妻には働き続けて欲しい」「イクメンだからとはいえ、決してキャリアアップを諦めたわけじゃない!」「育休を取りたいと上司になかなか言い出せない」……仕事も育児も家庭もどれも大事。上司も妻も知らない、仕事と子育ての狭間で奮闘する共働きのパパたちのリアルな実態をリポートする。

 子育て真っ最中の男性たちの多くは、実は「もっともっと仕事がしたい!」と思っている。

 インターネット関係の会社をパートナーと設立し、経営の指揮をとる上野さん(仮名・32歳) は、当然ながら仕事が生活の中心だ。1歳7カ月の娘がおり、妻は美容関係の専門学校の講師をしている。上野さんは経営者らしい熱のこもった語り口でこう話す。

 「自分にとっては、仕事のプライオリティは高いですよ。出社は午前10時で遅いですけど、その分、帰りは午前1時など深夜になります。スタッフが頑張っているのに、自分だけ早く帰るのは心苦しいじゃないですか。それに、お客さんへの訪問が終わってから企画書を書いたりするので、ついつい夜遅くなっちゃうんですよね」

 妻は学校の講師という仕事柄、就業時間がきっちり決まっており、残業は皆無に等しい。平日は妻が家事と育児を担ってくれるからこそ、上野さんは安心して仕事に没頭できるのだ。

 「子どもが熱を出しても、僕は会社を休むことはないですね。そのあたりは、すべて妻にお任せ。彼女もわりと家事や育児が好きなので、自分とはうまくバランスが取れているんじゃないかな」

朝の支度と送りだけは欠かさない

 そんな“仕事オンリー”に見える上野さんでも、娘の朝の身支度と保育園への送りだけは欠かさない。たとえ明け方まで働いても、必ず自宅に戻って娘を保育園まで連れていく。そして寝ないで再び出勤するという、恐るべきハードスケジュールをこなしている。