私たちは東京で共働き生活を続けていたが、夫のタイ・バンコク転勤を機に2013年からバンコク在住になった。今、日本で増え続けているであろう、「海外子育て生活」に興味を持つ共働き世帯のために、教育・食・住など様々な切り口から、海外生活のリアルをお伝えしたい。

この10年で大きく発展したバンコク

 バンコク生活を始めるに当たり、バンコクを初めて訪れた旅を思い出した。あれは今から10年以上前。学生時代にバックパックを背負って各国を巡ったときのことだ。ネパールやカンボジアなどとともに立ち寄ることが多く、街中に伊勢丹やファミリーマートがあるバンコクを「東南アジア諸国の中では極めて発展している都市」だと感じた記憶がある。ただ、辛いものもパクチーも苦手な私は、街中に漂う独特な香りが合わなかったこともあり、当時は正直あまり良い印象を持てなかった(食文化の影響は旅行者の満足度を大きく左右するものだ!泣)。

 その後、夫が単身赴任をしていた2012年の1年間に3回訪れた。すっかりアジアのハブ空港となったスワンナプーム空港に降り立ち、高層ビルが建ち並ぶ「新生バンコク」を体感することになる。久しぶりに北京や上海を訪れたときもそうだったが、日本が大きく発展していく時代を経験していない私にとって、街が急激な変化を遂げる様子は見ているだけでもワクワクする。

 10年ぶりにバンコク駐在になった知人は「10年前とはあまりにも変わりすぎていて、以前の知識がほとんど役に立たない」と言う。日本人居住区も様変わりしているようだった。

野生動物も多い公園、優れた教育施設も…、子連れにとって魅力的

 子連れ生活を始める者の視点から見ると、この都市のまた違った一面が見えてくる。高層ビルに囲まれた公園であっても、野生のリスや猿などが遊んでいる。東京より自然が残っているのだろう。池にはカメや大トカゲ(人間に危害は加えない)がいたり…、休日には家族で色々な過ごし方ができそうだ。

 また、とても魅力的に映ったのが、娘の教育環境。世界で最も古い歴史ある日本人学校に加えて、国際バカロレア(IB)認定校となっているインターナショナルスクールも少なくない。IBの公式サイトで調べたところ、タイ国内に20校、バンコクから通える範囲で8校あった。東京ほど郊外に行かなくても、大きなキャンパスや充実した設備を持つ広い学校環境が用意されている。