よく、夫とは性格や考えが違うという人がいますが、違っているからこそ力を合わせる価値があるのではないでしょうか。試行錯誤する中では当然ブレることもありますが、二人で話し合いつつ軌道修正すれば、振れ幅も少なくて済みます。
この時、夫と妻は親として共闘はしますが、いさめる側とフォローする側など、役割分担はあったほうが良いでしょう。
私たちは、第一子である娘への関わりについては相談にとどまらず喧嘩もしました。結局、娘への対応だけは辛うじて統一感を保ったものの、お互いに内心では納得できないまま、という危うい時期もありました。時が経ってからでないとわからないこともたくさんあり、あのような対処で良かったのだとかつての自分を褒めてみたり、相手の先見の明に感心したり、結果オーライにまることも少なくありません。
そして、「苦労の甲斐があったー」という時が突然やってきます。まさに、さなぎが蝶になるように突然大人になるのです。
「パパとママみたいにはなりたくない!」と激しく言っていた娘ですが、今では口を開けば「パパとママが理想の夫婦で尊敬する」とのたまいます。私たちは何も変わっていないのに不思議といえば不思議ですが、あれも親離れのための通過点だったのでしょう。
子どもの思春期は、耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ覚悟をもって、夫婦で慰め合い励まし合ってがんばりましょう。
だから、そんな嵐のような思春期前の子育ては物理的には忙しくてとても大変ですが、イライラして可愛い時を見逃さないよう、堪能しておきましょう。
<『脱・不機嫌な女』(著・武部純子/柏書房)から転載>