中高時代の娘と私のバトルは、当時幼児から小学校低学年だった息子のトラウマになっているほどです。今は別人のように「大人になった」娘ですが、私自身の日記を読み返すと、彼女が一人暮らしを始める22歳までは、娘への腹立ちの記述にあふれていました。

 この時の経験から、10歳違いの息子にはおのずと接し方が変わりました。反抗期に入って始まった息子の罵詈雑言は右から左へと聞き流し、笑いのタネにできたのです。今では鋭いツッコミにボケという、漫才の境地に達しました。

 娘の反抗期中は、息子は反抗期以前の可愛い盛りであり、息子が反抗期に入った時には娘は大人に変身していました。娘の大変身を経験したあとですから、息子がどんな生意気を言っても「そう言いたい時期なのね」「成長へのバネね」「ホルモンのせいで機嫌が悪いのね」と、いっこうに腹は立ちませんでした。

 そんな息子が中学2年生の時、母の日に贈ってくれた手紙は私の宝物です。本当は感謝しているのにそんな言葉は一言も発せずに、普段は反抗的なことばかりを言っている息子が、ふとママがいなくなったらどうしようと思う時があるからと、書いてくれました。

 毎日顔を合わせ、身の回りの世話をしている子どもの態度に、なかなか寛容になれないのは私自身、娘の経験からよくわかります。でも、反抗期は一時的なもので、その子の本質ではないことを忘れずに、同じ土俵に乗らない度量を身につけたいものです。