まず、番組内容については「子どもの年齢にふさわしい教育的内容であればポジティブな影響があり、暴力的だったり性的な内容であればネガティブな影響がある」という、言われてみれば当たり前の結論が、さまざまな実証研究で明らかにされてきています。

 例えば暴力をふるうような攻撃的な映像については、児童期に視聴すると子どもの攻撃的な行動が増えるといわれています。

 逆に、幼児に教育番組を見せると、その子どもの言葉の発達を促したり、想像力・認知能力を高めたり、学校の成績を上げたりするという研究結果もあります。

――もう1つの、テレビの視聴時間の影響についてはいかがでしょうか。

菅原 様々な研究によれば、テレビの視聴時間が乳幼児の発達に及ぼすという大きな影響は、今のところ認められていません

 私たちが行っている調査でも、テレビの視聴時間の長さが子どもの問題行動に結びつくという因果関係はみられない、という分析結果が出ました。

――なぜそのような結果になるのでしょうか。

菅原 発達心理学の研究で分かっているのですが、乳幼児の発達に大きな影響を与えるのは、絵本読みや外遊びを通した人とのコミュニケーションです

 例えば言葉の発達ですが、テレビを長時間見ていても見ていなくても、絵本を多く読んでいる子どもであれば、その子どもが発する語彙量は増えます。

 逆に言えば、テレビを見ていない家庭でも、絵本を読んでいる時間が少なければ、子どもの語彙量は増えません。

 要するにテレビ視聴というのは、絵本読みや外遊びほどには、子どもの成長には影響を与えないのです

幼児にとっては、テレビはさほど面白くない

――ですが、子どもが長時間テレビを見る「テレビ漬け」になっていることはないでしょうか。