僕は会社員時代、部下が小声で電話を受けている姿だけで察して、「こっちで何とかしとくから」などと声をかけていました。

 これからの上司はこれくらいの余裕をもたないと、優秀な部下から逃げられると思いますよ。実際、僕の部署への異動希望が一番多かったです。

今育休を取る男性は、10年後には人事部長

 もう1つ、これからのビジネスパーソンが身につけるべきは「時間効率を高めるスキル」でしょう。子育てや介護中の社員は、とにかく時間がない。夕方5時から元気が出るオヤジとは違って、朝からフルスロットルですよ。

 だから、余計な時間を奪わない配慮をする。メールも基本は3行以内。会議もできるだけ短く済ませる。「立って」会議をすると、どんな議題でも、20分で結論が出ますよ(笑)。

 とはいえ、10年後には今の30代のイクメン世代が管理職になっていくから、企業風土は必然的にガラッと変わるでしょう。「育休は出世に響く」と悩む人も多いようですが、とんでもない。

 今育休を取る男性は、その経験を買われて10年後には人事部長ですよ。その頃には「イクメン」は死語になっているはずで、それこそが僕の究極の目標です。

(ライター/宮本恵理子、撮影/鈴木愛子)
<日経ビジネスアソシエ 2014年2月号の記事を基に再構成>

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