「戦争のない現在でも、暴力はこの世の中にあふれています。子どもたちは、日々それを見たり、聞いたりして、最後には暴力というのは自然なものだと信じてしまうでしょう。だから私たち大人は、暴力以外の方法も必ずあることを、家庭の中から子どもに示すべきではないでしょうか」
このスピーチの翌年に「親子法」が制定され、今では牛乳パックにも「たたかなくても子育てはできる」と印刷されるようになっています。
叱らなくても泣き止ませる三つの魔法
では、スウェーデンではどうやって子どもをしつけているのでしょうか。たとえばスーパーなどで子どもがぐずったり泣き始めたら、「静かにしなさい」と命令口調で制止するのではなく、低い小さな声で「イライラしてかわいそうね」とささやいて慰めるというのがひとつ目。
二つ目は「おうちに帰ったら××で遊ぼうか」と関心をそらせる。
三つ目は抱きしめる。
この三つのポイントを押さえれば、だいたいは泣き止むのだそうです。
スウェーデンのお父さんは言います。「小さな子どもをたたくなんて、みっともない」その通りだと私も思います。どなったり、無視したりも同じ土俵にいるということです。みっともないのは駄々をこねる子どもではなく、「叱りつける親のほう」なのであり、こうした意識は日本にも広めるべきではないでしょうか。
<『脱・不機嫌な女』(著・武部純子/柏書房)から転載>