0歳だった息子は、ホテルの遊技場の消防車の乗り物が気に入って、部屋に帰っても翌日になっても、思い出したように「カンカン、カンカン乗る?」と叫んでいました。どうしようもないので、笑いながら受け流すしかありませんでした。時にはそうしたこともありますが、小学生にでもなれば、これも「そんなことがあったね?」と本人にとってはちょっと照れくさい、家族にとっては可愛かったころの思い出になります。オロオロ、イライラせずに、あくまで笑顔で接しましょう。

「たたく」「大声で叱る」「押し入れに入れる」はすべて法律で禁止のスウェーデン

 虐待まではいかなくても、ときには子どもをきつく叱ったり、カッとなって手を上げたりという経験は、多くの親にあることでしょう。普段はやさしく接しているのですから、これはただのしつけ、と思うかもしれません。しかし、欧米では許されず、中でも北欧のスウェーデンでは違法行為となることをお伝えしたいと思います。叱りつけるくらいなら笑ってやり過ごす、その意味がご理解いただけることでしょう。

 1997年、スウェーデンでは「親子法」という、体罰を禁止する法律が施行されました。ここでは子どもを「たたく」「言葉で脅す」「押入れに閉じ込める」なども体罰とされています。言うことを聞かない時にお尻をたたいたり、騒ぐ子どもを「うるさい!」と叱ったり、甘えてきても無視したりすることは、日本では時々見かける光景です。けれども、スウェーデンでは、こうした親の行動は法律で処罰されるのです。

 スウェーデンでも30年前は「軽い体罰はしつけのために必要」と考えられてきた歴史がありました。これを大きく変えるきっかけとなったのは『長くつ下のピッピ』などで知られる童話作家アストリッド・リンドグレーンの次のようなスピーチだったのです。