毎年冬に入る前からインフルエンザと同様に流行するのが、ウイルス性胃腸炎です。ノロウイルスやロタウイルス、といったものが有名ですね。

 ノロウイルスとロタウイルス、どう違うか知っていますか?

 冬に流行するウイルス性胃腸炎の基礎知識と嘔吐下痢の対処法を2回に分けて紹介します。

以下は、知ろう小児医療守ろう子ども達の会」で発行しているメルマガの中から、小児科の先生が書いてくれたものを抜粋してお届けします。

(日経DUAL特選シリーズ/2014年1月収録記事を再編集したものです。)

激しい吐き気が特徴のノロウイルス、晩秋から冬の中盤まで流行

 ノロウイルスは、秋の終わりごろから冬の中ごろにかけて毎年流行します。特徴的な症状として、突然の嘔吐で始まることが一般的です。吐き気は激しいのですが、半日くらいでおさまる事が多いようです。

 下痢を伴うこともありますが、ほとんどが軽い下痢で済みます。38度前後の熱を伴うこともありますが、1日くらいで下がります。

 嘔吐が長引き脱水状態になれば、点滴や入院治療が必要になりますが、そこまで重症化することは比較的少なく、たいていは自宅でのケアで回復します。基本的には、数日で自力で自然によくなる感染症です。ただ注意が必要なのは、嘔吐物が撒き散らされるため、成人への感染力がとても強いことです。

 一方、ロタウイルスは、というと…。

激しい下痢と発熱が続くロタウイルス、冬の終わり~春先に流行

 一方、ロタウイルスはノロウイルスより少し遅れて、冬の終わり~春先(インフルエンザの流行の終盤にかかることが多い)にかけて流行します。突然の下痢と嘔吐、発熱で発症します。ロタウイルスは、激しい下痢や発熱が長く続くのが特徴です。

 基本的には、1~2週間ぐらいで自然に良くなる感染症ですが、乳幼児に多く2~3歳未満の小さな子どもは脱水が進み、点滴や入院治療が必要になることが多くなります。

 水分がまったくとれず尿が半日以上出ない、顔色が悪くぐったりしている、皮膚がシワシワと乾燥してくる、などの脱水症状に注意してください。

 任意接種になりますが、ロタウイルスワクチンが生後6週から接種できます。生後2カ月から、ヒブや肺炎球菌ワクチンなどと同時接種で受ける人が多いようです。