あなたは日々の仕事や子育てに追われ、「不機嫌」にはなっていませんか。不機嫌なときには決まって何かに怒っているか、疲れ果てているか。迷いや悩みを抱えているときも機嫌よく、とはいかないものです。ワークライフバランス・コンサルタントの著者がこれまで接してきた多くの女性たちの悩み、夫と二人で一男一女を育てた自身の経験をもとに編み出した、「不機嫌」ループからの脱出方法を書籍『脱・不機嫌な女』から厳選してお伝えします。

 ワーキングマザーにとって頼りになるのは、何といっても実の母親です。

 予期できない子どもの看病や急なお迎えなど、無理を頼みやすいのは実母でしょう。義理の母や友人では、そうたびたびお願いすることはできません。

 しかし、実家の母にピンチヒッターとしての出番を期待するのはいいのですが、仕事に専念したいからとか、もっとラクがしたいからといって実家に依存し過ぎると、子育てはうまくいきません。

 妻の実家に頼り過ぎた悲劇を紹介します。

妻の両親と同居したケース

 C子は中学校の教師をしています。結婚し、子どもが産まれると、職場に近いマンションで自分の両親と同居し、仕事と子育ての両立に万全の態勢を整えました。

 長女が離乳食期だったころに訪ねたことがありますが、離乳食を食べさせるのもおばあちゃんでした。母親であるC子はまだ抱っこも頼りないありさまで、実母任せの様子がよく表れていました。

 やがて長男も誕生し、両親と夫婦に子ども二人、六人家族がスタートしました。しかしほどなく夫がうつ病になったのです。すると、最初は良好だった夫と両親の仲もギクシャクし、子育てに積極的に関わる必要のない夫は家庭の中で孤立し、自殺未遂と休職を繰り返しました。

 さらに、親が父・母として機能していない家庭で育った長女は中学で不登校、摂食障害となり、長男も神経症から学業不振に陥りました。

 夫と子ども二人共が心に病を抱えてしまったのは、この子たちの場合は生まれ持った気質もあるかもしれませんが、家族のあり方、とりわけ両親である夫婦のあり方と無縁ではないに違いありません。

 C子家族は、祖父母が同居し家事を担ってくれていたため、精神的に家族がバラバラになっても生活が保たれていることがアダとなり、かえって一人ひとりの立ち直りを遅らせたのではないでしょうか。