あなたは日々の仕事や子育てに追われ、「不機嫌」にはなっていませんか。不機嫌なときには決まって何かに怒っているか、疲れ果てているか。迷いや悩みを抱えているときも機嫌よく、とはいかないものです。ワークライフバランス・コンサルタントの著者がこれまで接してきた多くの女性たちの悩み、夫と二人で一男一女を育てた自身の経験をもとに編み出した、「不機嫌」ループからの脱出方法を書籍『脱・不機嫌な女』から厳選してお伝えします。

「子どもは褒めて育てる」とは有名な話ですが、家事をする夫にするためにあなたが今すぐできることは「夫を褒めること」です。

 褒められた側の気持ちを私の夫の著書『育児も夫のカイショー』(1995年刊 萌文社)から抜粋してみましょう。

 朝の生ゴミ出しは僕の仕事となった。翌週から「燃えないゴミ」出しも僕の仕事となった。子供の朝のミルク当番、着替え当番と朝の仕事がこの調子で増えていった。そしてやればやるほど感謝された。今から考えれば不自然なほど大袈裟に喜ばれた。僕はいい気になって喜ばれるままに家事に参加していった。風呂洗い、買い物、夕食作り。夕食などつくれば身の置き場がなくなるような賞賛と感謝のことばがふりそそがれた。

 そういえば洗濯で大失敗をしたことがある。妻が大切にしていたピンクのシルクのブラウスを、洗濯機に突っ込んで洗ったうえ、電気乾燥機にかけて子供服サイズにしてしまったのだ。帰宅した妻はあわれな姿となったブラウスを抱いて口元を引きつらせた。いっぱく間をとってから「仕方がないわね。」と一言。けっして僕をなじろうとはしなかった。

 慣れない家事を一生懸命こなしている僕に対する感謝の気持ちの大きさが、このときの寛容さになって表れたのだろう。でも最近になっても妻の口からひょんに「あわれなピンクのブラウス」の話題が出てくることがあるのだ。本当はよほど頭にきていたのだろう。御免なさい。